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企業のビジネスを支える、統合基幹業務システム(ERP)市場のリーダーとして50年の歴史をもつSAP。SAPジャパン株式会社は、ドイツに本社を置き、世界130カ国以上に支社をもつSAPの日本法人として、多くの企業の業務改革を支援してきた。その同社が今、転換期にあるという。SAPジャパンにおける働きがいや2022年9月に移転した新オフィスのコンセプト、今後の展開について、総務部の瓜田良介さんにお話をうかがった。
目次
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世界の商取引売上の87%がSAPシステムを使用
ERP市場で世界No.1のシェアを揺るぎないものとしているSAP。その日本法人として約1,651人の社員を抱えるSAPジャパンは、大手企業から中堅・中小企業へと、日本市場での顧客を広げている。
―改めて事業内容を教えてください。
ERPを主軸に、ビジネスソフトウェアの開発と販売、コンサルテーションならびにサポートを提供しています。ERPとは、企業の経理や財務、人事、製造、サプライチェーン、サービス、調達・購買といった基幹業務を統合し、効率的に管理できるようにするシステムのことです。SAPでは50年にわたり、グローバル企業の基幹業務システムの管理を支えており、現在、世界中の商取引売上の87%は何らかのSAPシステムを経由しています。
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―驚くべきシェアの高さですが、サービスを提供されるうえで大切にされていることは何でしょうか。
お客様の成功を本気で考えることです。当社のシステムを導入したことで、例えば会計が効率的になったという次元にとどまらず、いかにビジネスを成長させるエンジンになれるかを重視しています。それによりお客様に選ばれる会社になれば、それが社員にとってのやりがいとなり、成長の機会となって、お客様に還元される。このサイクルを回していくことをビジョンとして掲げています。
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―世界で初めてERPを提供した御社が今、企業の基幹業務システムにおいて最も力を入れておられるものは何でしょうか。
サプライチェーンです。世界情勢が激しく変化するなか、原材料の調達から製造、在庫管理、流通、販売までを一気通貫で横串を刺してつなぐことが重要になってきています。ご存じの通り、ロシアのウクライナ侵攻により、世の中のあらゆる商品の価格が上昇し始めました。こうした状況は、原材料の調達先がすぐにシフトできるような対策を事前に講じていれば回避できたわけです。つまりビジネスにおいては、サプライチェーンのどこにどのようなリスクがあるのかをERPで可視化して常に把握し、リスクヘッジができる対策をとっておく必要があります。
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やりたいことが実現できる。その環境がSAPの魅力
―どのような方が活躍されていますか。
自分が何をしたいのかが明確で、進みたい方向をしっかりと指し示すことのできる人が活躍しています。例えば、私はもともと営業職でしたが、その顧客に対して「いついつまでにオーダーをもらいたい」といった意思表示は営業の人間にしかできません。SAPはプロフェッショナルの集団を目指していますから、営業の人間を取り巻くメンバーは一人ひとりがプロフェッショナルです。営業職の場合、お客様のことを一番よくわかっている人間として、プロフェッショナル達をどのようにマネージすれば、その力を最大限に引き出せるのか。いわゆるオーケストレーションが求められます。
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―大手企業ならではの特徴といえそうです。
スタートアップ企業というのは、新しいサービスや商品の開発に心血を注ぎ、それを世に知らしめるべく突き進むものですよね。一方でSAPをはじめとする大手企業は、有効なサービスを多数揃えているなかで、いかに顧客のニーズに応えていくのかが問われます。
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だからといって、当社の仕事にワクワク感が少ないわけではありません。SAPでは、やりたいことが明確であれば、それを実現できる環境が用意されています。極端な例ですが、自分でビジネスをやりたいと思えば、社内で毎年行われている事業コンテストに応募して、体制やリソースのサポートを受けることも可能です。実際に予算を獲得して実現している人たちもいます。
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―ワクワク感を生み出せるかどうかは自分次第ということですね。
おっしゃる通りです。私自身、スタートアップの出身ですが、SAPで働くことの魅力となっているのが、自分がやりたいと思うことをやらせてくれる土台があることです。また当社では、社内の求人が常にオープンにされており、希望の職種やポジションがあれば、日本のみならずグローバルでチャレンジすることが可能です。実際に私も、社内応募の制度を利用して、営業から総務に異動しました。他にも、エンジニアでコンサルタントをしていた人が、ソフトウェアの知識を武器に営業職に応募して採用され、活躍しているケースなども多数あります。
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新オフィスで始まる、新しい働き方へのチャレンジ
SAPジャパンはリモートワーク増加にともなう新しい働き方に対応するため、2022年9月に東京本社を移転リニューアルした。社員のエンゲージメントを高めるオフィスづくりに興味があり、新オフィスプロジェクトを手掛ける総務に手をあげたという瓜田さんに、新たにオープンしたオフィスを案内いただいた。
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―新オフィスにはどのような想いが込められているのでしょうか。
SAPでは新しい働き方を実現するために「Pledge to Flex」を掲げています。具体的には、Flex Location(勤務地の柔軟性)、Flex Time(働く時間の柔軟性)、Flex Workspace(働く場所の柔軟性)についてそれぞれに施策を推進しています。今回の大手町へのオフィス移転は、このなかのFlex Workspaceにあたります。リモートワークが進み、1人1席を設ける必要がなくなっている状況で、オフィスにはどういった価値があるのか。新オフィスの計画はこの問いを突き詰め、オフィスの位置づけを明確に定義することからスタートしました。
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―実際にはどのようなコンセプトでオフィスづくりを行われましたか。
新オフィスのコンセプトとして、①フレキシブルな働き方をサポートする、②コラボレーションをサポートする、③新たなエコシステムを生み出す、の3つを掲げました。
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まず、フレキシブルな働き方をサポートするために、レイアウトに先進的なデザインを採用しています。社員が仕事の内容により働く場所を自由に選べる「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」というワークスタイルが知られていますが、新オフィスはABWの進化系として網目状で、かつ斜めのレイアウトにしています。こうすることで、社員が歩けるスペースを確保し、社員間の出会いが創出される仕掛けです。
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また、多くの什器は可動式になっており、ミーティングルームを除いてフロアの仕切りがほとんどありません。これからの10年を見据え、ビジネスの変化に柔軟に対応できるフレキシブルなオフィスになっています。社員のニーズにより変化し続ける、「未完成のオフィス」ともいえます。
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―リモートワークが増加したなか、コミュニケーションの促進は重要な要素ですね。
現在、当社の出社率は5%なのですが、これを30%程度まで上げたいと考えています。社員へのアンケート調査でも、オフィスで行うことが望ましい活動として「同僚とのコラボレーション」や「顧客やパートナーとのミーティング」が回答の上位となっていました。出社率を上げるには、オフィスがコラボレーションやコミュニケーションに有効で魅力的な場でなくてはいけません。
そこで、コミュニケーションハブの役割を担う「ワークプレイスアンバサダー」という新しい職種を設けました。ワークプレイスアンバサダーは人と人をつないだり、イベントを開催してそのための装飾を施したりと、自然と足を運びたくなる魅力的な場づくりを行います。
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新たなエコシステムを生み出すためにも、そのきっかけとなるコンテンツを提供する必要があります。例えば、SDGsをテーマとしたワークショップを開催し、社員のみならずお客様にも参加いただくことで、学びや交流、新たな価値の創出につながればと考えています。
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クラウドカンパニーへ。創業以来の大転換期
ドイツで誕生したSAPは2022年に創業50周年を迎え、SAPジャパンは設立30周年を迎えた。ERP市場で揺るぎない地位を築いた同社が今、大きな変革を遂げようとしている。
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―今後の展望をお聞かせください。
これまで当社は、ソフトウェアをサーバーにインストールするオンプレミス型の業務システムをメインにビジネスを展開してきました。現在、クラウドサービスを中心とするビジネスモデルへと転換を図っており、その加速が今後の大きな課題となっています。
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クラウド化は端的に言えば時代の流れであり、お客様もクラウドサービスを利用することがスタンダードになり始めています。一方で、オンプレミス型であれば契約後はそのままお付き合いが続きますが、クラウドサービスは価格相応の価値を発揮し続けなければ解約されてしまいます。われわれのマインドセットからすべてを新しく変えていく大きなチャレンジです。
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―最後に、どのような方と一緒に働きたいとお考えですか。
私自身、もともとクラウドカンパニーにいましたので、SAPの大転換に貢献することにやりがいを感じています。同じようにクラウドシフトに興味のある方、そこにやりがいを感じる方とぜひ一緒に働きたいですね。
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取材のウラ側
記事には入らなかったが、同社の根底に「否定しない」カルチャーがあるというお話も興味深かった。個々が働き方を選び、自由に変えていけるという新オフィスにも、自立した個人を信頼し尊重するという同社のカルチャーを感じる。クラウド化を加速させるSAPが踏み出す新章が楽しみである。
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