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クックビズ株式会社
飲食店の求人・転職を扱うWebサイトの運営や求人広告、人材紹介などの事業を提供する企業。飲食業界が抱える課題を解決するため、近年は経営支援や事業再生にも力を入れている。
Official Site2007年にフード産業に特化した人材紹介事業で創業以来、着実に成長を続け、飲食業界向け人材サービス企業として確固たる地位を築いたクックビズ株式会社。コロナ禍に働き方を変化させたことがきっかけとなり、2023年5月にオフィスを大幅リニューアル。フリーアドレス制を導入した新オフィスでは、期待どおりの変化が起こり始めているという。 全国の飲食店事業者と強い信頼関係を築きながら、人材紹介業を主軸に、食ビジネスの変革支援を行う同社のめざす働き方とはどのようなものなのだろうか。PR/IR担当の中西 由美子さんに話を聞いた。
目次
飲食業界に特化し、幅広いサービスを提供
——事業内容についてお聞かせください。
飲食業界向けの人材紹介および求人広告を中心に事業を行っています。正社員からパート・アルバイト採用までを行う「cookbiz」は、年間150万人に閲覧される、飲食業界特化型としては業界最大級の求人サイトとなっています。cookbizでは、キャリアアドバイザーが面談のうえマッチングを行っているので、即戦略となる人材採用に効果的と飲食事業者様から高い評価をいただいています。このほか、飲食人材をスカウトできる「Direct Plus」というサービスも提供しています。
人材紹介サービスと並行して、飲食・サービス業界に特化した研修サービスの提供や、フランチャイズビジネスを広げていきたいというお客さまのサポートも行っています。また、近年は人材採用と並ぶ課題としてDXを挙げられる飲食店様も多いため、業務管理のためのシステム導入など、テクノロジー面での支援にも力を入れています。飲食業界に関連した幅広いサービスが当社の強みです。
——あらゆる面から、飲食店の経営支援を行っているのですね。
当社は「食に関わるあらゆる制約を解き放つ」をミッションに掲げ、人材領域、経営支援領域、事業再生領域の3つを軸にサービスを展開しています。2022年には新たに採用総合パッケージというサービスをスタートさせました。人材採用関連の業務を総合的に支援するサービスで、求人媒体の選定・出稿から、応募者の受付や一次面接などの代行も行う、コンサルティング型の事業になります。
このサービスによって、年間20〜30名を採用したいという大手事業者様のご要望にもコミットできるようになりました。飲食の現場は忙しいので、採用したくてもすぐに求人広告を出すことが難しいケースもあります。採用総合パッケージでは我々がサポートに入ることで現場の手間を省き、退職者の補填もしながら、新規出店にも耐えうるだけの人材採用が可能になります。現在、求人倍率もコロナ前に戻りつつあり、人材の争奪時期に入ってきているようで多くの事業者様からお引き合いをいただいています。
飲食業界出身者が社員の約3割。経験が信頼につながる
——多くの飲食事業者から信頼を獲得されている秘訣は何でしょうか。
実は、弊社の従業員の3〜4人に1人が飲食サービスの現場経験者です。飲食業界の仕事は楽しい一方、多忙で、労働環境が厳しい現場もたくさんあります。そうした状況を改善したい、業界の課題を解決したい、というマインドで弊社に入社する社員が多いのです。このことが信頼感につながっているのかもしれません。
営業でトップクラスの実績をもつ女性社員も飲食店出身者です。彼女は、先方の人事部長よりも現場のことをよく理解していると褒められたこともあると聞いています。例えば、お客様から人材を集めてほしいとリクエストされた場合、そのまま引き受けるのではなく、「この条件では厳しい」とはっきり伝え、電卓を片手に、お客様と一緒に給与などを詰め直していくそうです。
もちろん売上を立てるという目的もあると思いますが、それよりもお客様の課題を解決するためには何をすべきか、という思いが強いのだと思います。彼女は、担当企業の経営会議に参加し、採用率を上げるためには現場の処遇改善が必要だと訴えて、見事、実現させたこともあるんですよ。
このほかにも、さまざまな部署で飲食店経験者が業務を行っています。キャリアアドバイザーなどのフロント業務についている社員の中にも多数いますし、今年の上期のMVPを取ったマーケティング部の社員も大手ファミリーレストランでの現場勤務経験者です。
”働き方のアップデート”に合わせ、オフィスをリニューアル
——2023年5月に本社オフィスのリニューアルをされました。リニューアルの背景を教えてください。
コロナ禍にリモートワークを導入したことがきっかけです。それまでは求職者様との面談などをオフィスで行っていたので出社が必要だったのですが、やってみたらオンラインでもほとんどの業務に問題なく対応できることがわかり、リモートワークが定着しました。
でも、今度はなんのために出社させるのか、ということが議論になったんです。せっかくオフィスに来るからにはオンラインではできないコミュニケーションをとって欲しい。例えば、雑談が活発化して交流が深まったり若手社員の育成につながったりするようなオフィスが必要ではないか、とリニューアルの計画が始まりました。
また、リモートワークによってオンラインでの打ち合わせが増えるなど働き方が変わりましたが、自宅でできていた業務が出社するとスムーズにできなくなるという本末転倒なことは避けたいというのもありました。実際、個人用デスクが並んだ従来型のオフィスでは、電話やWeb面談に対応しにくかったんです。社外でのアポイントの前後にオンライン打ち合わせが入ったときは、駅などにある個室型のワークスペースを利用していたのですが、社内にもそうした設備が必要なのではないかという声があり、リニューアルを機に導入することにしました。
——リニューアル後、どのような変化が生まれましたか。
オフィスリニューアル前は25%前後の出社率だったのですが、完成後は40%程度まであがっています。社内で求職者様との面談を行わなくなったので、そのスペースを社員のコミュニケーションスペースとして活用できるようになったのは大きな変化ですね。以前は決められた個人の席に座っていたのですが、そうすると同じ人とばかり話して、交流が生まれにくかったんです。昔ながらの島型のオフィスレイアウトをやめて固定席を廃止し、フリーアドレス制を導入したことで、出社時には以前よりも多くの人とコミュニケーションを取る機会が増えました。
同じオフィス家具でそろえるのではなく、ファミレス席やハイチェア、スタンディングデスクなどさまざまな席を用意してもらったので、社内でも移動することで視点が変わり、気分転換になります。1日の中で席を変えて仕事をする社員も多いようです。
一方で、個人の執務用に設けた個室ブースは、周囲を気にせず話せて安心だと好評です。オンラインの打ち合わせだけでなく、営業担当者が電話をかけるときなどにも活用されています。将来的にお客様とやり取りの多い社員が増えても対応できるように8つ設け、予約制で運用しています。
実はオフィスリニューアルを考え始めた当初、いろいろな会社とお話をしたのですが、何をポイントに選んだらいいのかわからなくなってしまい、いったんストップせざるをえなくなってしまったのです。再び動き出せたのは、コミュニケーションの活性化や個室ブースなどの我々のニーズをうまく汲み取って提案してもらえたからでした。
ちょうどリニューアルを決めたタイミングでコーポレートカラーやロゴを刷新したこともあり、各会議室の壁にコーポレートカラーを取り入れたり、デスクを当社のロゴのアスタリスクをイメージした配置にしたりと、当社らしさを取り入れたデザインをしてもらうことができたのもよかったです。とくにコーポレートカラーについては社員が意識する機会の少ないものなので、よい意識づけになっているのではないかと感じています。
持株会の奨励金付与率は120%。会社の成長を従業員に還元
——MVP制度など、特徴的な取り組みがあるとお聞きしました。どのようなものなのでしょうか。
人材サービス業では一般的に売上を立てた社員が注目されやすいのですが、定性的な項目も合わせて評価しようということから始まったのがMVP制度です。各部門の管理職層が候補者を挙げ、取り組み内容を実績に加味して選出しています。MVPを獲得した社員には副賞が出るほか、弊社の代表と1対1でMVPインタビューを行ってもらっています。インタビュー動画は社内向けですが、記事化したものを採用ページで活用し、公開しています。
また、2021年12月には持株制度の奨励金付与率を120%へ大幅に引き上げ、正社員だけでなく契約社員、パートタイマー、アルバイト、嘱託社員にも適用範囲を広げて業績を還元できる仕組みを設けました。スタートアップ企業は退職金がなく、資産形成的に不安な点も多いので、そのような不安点もこの制度で払拭できたらと考えています。加入率は大幅に伸び、2022年12月の段階で加入率 70.5%、拠出率 62.7%と、前年を大きく上回る結果となりました。持株制度への加入によって、従業員一人ひとりが会社の経営により強く参加意識をもつようになったのではないかと思います。
——働きやすい環境を実現するために、工夫されていることはありますか。
女性社員が4割と比較的多いこともあり、多様性を受け入れる仕組みづくりを急ピッチで進めています。2023年の7月からはフレックス勤務を取り入れたほか、育児休暇を3歳までに伸ばし、育児理由の短時間勤務も法律内の3歳から小学校3年生までに延長しました。最近では管理職の男性社員が育児休暇を取るなど、変化が生まれています。
また、当社は大阪・名古屋・東京にオフィスがあり、上司が東京にいてメンバーが大阪にいるというケースもあります。働きやすい環境づくりにはコミュニケーションが大切だと考え、1on1ミーティングを定期的に行って会話を増やすようにしています。
日本の飲食産業を支え、明るい未来をめざす
——社会貢献の取り組みはされていますか。
弊社が現在、人材領域と経営支援領域、事業再生領域の3つでサービスを行っていることはお話した通りですが、このうちの事業再生領域では、例えば後継者がいなくて廃業せざるを得ないような企業や、よいサービスをもっているけど経営が厳しい企業などを、M&Aして再建させていく取り組みを進めています。これはSDGsにもつながる取り組みだと考えています。
昨年、函館で民事再生になっていた水産加工会社「きゅういち」をM&Aしたのですが、地元では大きな企業で地域の雇用を支えていたので、買収によってその雇用も守ったと地域の新聞などで取り上げてもらいました。また、きゅういちはホタテの加工を行っているので、貝殻がたくさん出ます。この貝殻を廃棄するのではなく、リユースして商品化できないか、ということにも現在取り組んでいるところです。
また、人材領域では働き手が減少する中で、その担い手をどのように確保していくのかといった社会課題に応える取り組みとして、子会社の「ワールドインワーカー」を通じて外国人材の紹介サービスも行っています。
——今後の事業展望について教えてください。
日本の食というのは、海外でも評価の高い分野で、世界で戦っていける産業のひとつだと考えています。当社は今後、食にまつわる領域を中心として、人材サービスだけでなく事業再生領域、経営支援の領域にもよりいっそう力を注いでいきたいと考えています。そのために、「きゅういち」や「ワールドインワーカー」、シフト管理アプリの「キャスト」などの買収を行い、新しい取り組みを次々にスタートしています。こうした事業を今後、しっかりと伸ばしていきたいと考えています。
——最後に、これから一緒に働きたい人へのメッセージをお願いします。
クックビズは、食に関連したさまざまな事業に挑戦できる会社です。飲食業界の未来をよりよくしていきたいという志のある方ならば、活躍できる環境だと思います。とくに、お客様の事業に興味を持ち、我々がミッションに掲げる「食に関わる、あらゆる制約を解き放つ」を体現して、制約を制約だと思わずに楽しめる方に来ていただければ嬉しいです。
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取材のウラ側
新しいものをつくることだけがビジネスではなく、今あるものを良くしたり、便利にしたりすることもビジネスチャンスに繋がる。業界をリードするクックビズの幅広いサービスは、その着眼点の確かさ、鋭さの所以なのかもしれない。オフィスづくりに関しても、やるべきこと、必要なことを見極められる着眼点の確かさが見受けられた。
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