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インハウスコミット株式会社
クライアント企業が求めるスキルをもつ人材がチームを組み、事務所内に常駐して営業活動や人材育成などを行う「HR(人材)×実践型コンサルティング」事業を展開している。独自のビジネスモデルで急成長を遂げている北海道札幌市のベンチャー企業だ。
Official Site2019年の創業から5年目にして成長率300%を超え、急拡大しているインハウスコミット株式会社。その特徴は何といっても「HR×実践型コンサルティング」という新たなビジネスモデルだ。クライアント企業の事務所にインハウス(常駐)するコンサルティングサービスとは、一体どのような手法で行われ、どういった働きがいがあるのだろうか。発信業務責任者の岡田剛さんと人事担当の五十嵐結衣さんに話を聞いた。
目次
クライアント企業にチームをつくる実践型コンサルティング
——まずは貴社の事業内容についてお聞かせください。
五十嵐さん(以下、敬称略):クライアントさんの事務所にインハウスして、当社の社員がチームをつくり、その企業が抱える営業と採用の課題を解決する「HR×実践型コンサルティング」事業を行っています。
例えば、「商品の売り上げを伸ばしたい」とお考えのクライアントさんのところに常駐し、現状の課題を把握して営業手法を立案したうえで、それを実行して売り上げを拡大し、次のステージである人材採用や教育までを手掛けるという、新しい手法のコンサルティングです。
——なぜそのような新しいサービスを生み出されたのでしょうか。
五十嵐:社長である富田の会社員時代の経験がきっかけとなっています。富田はある上場企業で西日本の営業を統括していたのですが、東日本大震災の発生をきっかけにとした業績悪化により、能力もあり業績に貢献しているチームのメンバーを解雇せざるを得なくなったのです。
一方で、少子高齢化を背景に、多くの会社が人手不足の問題を抱えています。働く人のスキルとそのスキルを必要としている企業のマッチングに貢献したいとの思いから当社を立ち上げました。
——インハウスして課題解決につなげた具体的な事例をご紹介いただけますか。
岡田さん(以下、敬称略):私が現在、支援している企業様の事例をご紹介したいと思います。ある大手グループ系列のテレマーケティング代行業を主軸とされている企業様になりますが、同社では、お客さまからの注文を受ける受電コールセンター業務を得意としており、顧客情報を活用して積極的に仕掛けていく発信業務のセールス体制をつくりあげることが急務だと考えておられました。
そこで当社の人材がインハウスし営業組織を編成し、発信業務のセールス体制を構築。どのようなアプローチをすればその企業様の勝ちパターンがつくれるかを弊社が”実践”しながら見つけていくという手法で、年間約2億円の売上を達成しました。
この実績を評価いただき、新規に人材の採用や教育も依頼されるなど、当社が手掛ける領域がどんどん広がっています。
会社や地域の枠を超え、共創が当たり前の社会をめざす
——どのようなミッションやビジョンを掲げておられますか。
五十嵐:当社では、「適才適所を開拓し人々を笑顔にする。」というミッションを掲げています。適材適所の「材」を才能の「才」に変えているところがポイントです。
これは、必要とされる場所に必要な才能が届くようにマッチングすることで、お互いが幸せになり笑顔になる世の中をつくっていこうという、富田の起業時の思いを反映したものです。
一方、ビジョンには「枠を超えた地域活性化や共創社会を実現する」を掲げています。例えば、北海道の人材と沖縄の企業がうまくマッチングできれば、枠を超えた地域活性化につながります。その先に、共創することが当たり前の社会の実現をめざしています。
——北海道で創業されたのは、社長さまのゆかりの土地だったのでしょうか。
五十嵐:いえ、富田は大阪府の出身でして、北海道で起業したのは全国展開という中期目標があったからです。まずは「北からスタートし、南に進出しよう」との考えで北海道に本社を構えました。現在は東京にも営業所を構え、新規クライアントを開拓中です。
岡田:社員の多くは北海道出身ですので、札幌を盛り上げようというコンセプトでTikTokへの動画投稿なども行っています。クスッと笑えるような「札幌あるある」や「北海道と本州の違い」を撮影しており、少しでも地域貢献につながればと考えています。
TikTokアカウント: https://www.tiktok.com/@a_venture_s
インハウスという新しい働き方
——インハウスの良さを感じるのはどのようなときですか。
五十嵐:クライアントさんとの距離が実質的に近いので、フラッとわれわれのいるスペースに立ち寄られて、「こういうことできる?」といった要望をタイムリーに受け取れるところが良いですね。フレンドリーな関係を築きやすいと感じます。
——インハウスというこれまでにない働き方の面白さとは何でしょうか。
岡田:クライアント様のさまざまな社風やノウハウを経験・吸収できることでしょうか。普通の企業であれば1社でその企業の社風を2~3年かけて覚えていき、昇進するなり転職をすると思います。ですが弊社は外部コンサルというよりは、クライアント様と一緒に課題を解決するパートナーのようなもので、何と言いますかクライアントの1社員、、みたいな感覚で仕事ができます!なので自社以外のノウハウだったり価値観だったりを経験できるので面白いですね!
——インハウスという働き方を中心とするなか、オフィスのリニューアルもされていますね。
五十嵐:日頃の業務はインハウス先で行うことが多いのですが、リニューアルしたオフィスでは人材育成に力を入れていきたいと考えています。現在はインハウス先で業務を通して教育を行っていますが、将来的には人材教育を行ってからインハウス先に送り出すというシステムを構築して、より良いサービス提供に努めたいと考えています。
仕事を通して自分の才能を発見する
——どのような方が活躍されていますか。
五十嵐:ベンチャーゆえに、自ら考えて行動していくマインドが求められます。そのため、向上心をもってポジティブな気持ちで仕事に取り組んでいる人が多いですね。
そういう意味では、実績はないけれども、ここから心機一転、人生を変えたいという気持ちのある人や、大手で一定経験を積んだので次はベンチャー!という方も努力次第で活躍できます!
大企業のなかには何をするにも稟議が必要という組織もあります。やりたいことができないというもどかしい思いを抱えていた人が、当社に来て、自分のアイデアを実現できるようになり活躍している姿を見ます。
岡田:私自身、かつては「会社の歯車」として日々を過ごしていました。今振り返ると、能力がなかったのではなく、能力を活かしきれていない状態だったのだと思います。この会社に入社してから、さまざまな仕事を任せてもらい、自分には実はこんな才能があったんだということを発見できました。
前職では自分の目の前の仕事をやっていればよかったのですが、今は自分の一つ先の未来のことだけではなく、会社の皆の一つ先の未来のことを考える必要があります。高い視座で考える力がつきましたし、日々考えながら悩みながら仕事をするのが楽しいです。
——仕事に対する向き合い方が大きく変わられたのですね。
岡田:そうですね。前職では意見やアイデアを取り入れてもらう機会に恵まれませんでした。当社では社長の教育方針で最初からある程度の裁量を与えてもらい、経験を積むことでさらにアイデアを実践できる立場になれています。
自分自身が力をつければ、もっとやりたいことができる、会社と共に成長できるというイメージを描けることが、仕事へのモチベーションになっています。
「弱みを愛し強みを活かす」心理的に安全な環境
——社内はどのような雰囲気ですか。
五十嵐:雰囲気はとにかくすごくいいです(笑)。皆さんの人柄がよくて、私はかつて職場で人間関係に苦労した経験がありますが、この会社はとても居心地がいいです。
——そうした職場の空気をつくっているものは何なのでしょうか。
岡田:個人で成績を競う環境だとギスギスした雰囲気になることもあるかと思います。当社は「チームで勝とう」という思いを大切にしており、チームを良くするために自分は何をすればよいかを真正面から考えて取り組んでいる結果として、会社の雰囲気がいいのかもしれません。
五十嵐:当社のバリューである「弱みを愛し強みを活かす」も関係しているかと思います。人間誰しも長所と短所があるものですが、短所について発想を転換すると長所になることがあります。
例えば、自身を繊細でメンタルが打たれ弱いと評価している社員は、実は共感力が高く、人に寄り添うことに長けていることがあります。このように「弱みを愛し」には、弱みを弱みとして捉えず、強みとして武器にしていけばよいという意味が込められています。
そして、例え弱みを強みにできなかったとしても、それを補う強みのある誰かに補ってもらえばいいというのが「強みを活かす」の考え方です。これは逆に言えば、自分の持っている強みで、他の誰かを助けてあげようということにもなります。
——「弱み」と「強み」の捉え方の違いが、あたたかな組織づくりにつながっているのですね。
五十嵐:例えば、当社は異業種からの転職組も多く、エクセル等のソフトを使ってこなかった人もいますが、その人が「わからないです」と言って、岡田がよく助けている場面を目にします。助けてと言える環境があり、丁寧にレクチャーしてくれる人がいるというのが当社の雰囲気を象徴しているように思います。
また当社では、休憩時間の後に10分ほど時間を取って、最近あったいいこと、もしくは新しい出来事について発表する「Good and New」という雑談を毎日行っています。前向きな出来事を言語化したり、雑談を通してお互いを理解したりしていることも、ポジティブな雰囲気につながっているのかもしれません。
——チャレンジしやすい環境づくりのために何かされていることはありますか。
岡田:不定期にではありますが、社長が社員一人ひとりと1on1ミーティングを実施しており、経営者と密なコミュニケーションをとれていることがチャレンジの後押しになっています。社長が「たとえ失敗してもやってみたことに価値がある」という考え方ですので、それが心理的な完全性にもつながっています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
岡田:まずは当社が「HR×実践型コンサルティング」でクライアント企業のニーズを満たし、そのノウハウを蓄積して全国へ広げていきたいと考えています。その次に、プロ人材と企業をつなげるマッチングサイトの運営を手掛け、すべての人が自分の強みを活かせる「共創社会」の実現をめざします。
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取材のウラ側
職場の雰囲気を「とにかくすごくいい」と言い切れる会社はそうないだろう。お二人の会話のはしばしにあたたかな雰囲気が感じられ、肯定的なカルチャーが見てとれた。お互いの「弱み」を「強み」に変えたり、自分の「強み」を活かしたりする働き方は、結果的にそれぞれのパフォーマンスを上げることにつながる。働きやすさの一段上をいく、生きやすさのある職場といえるかもしれない。人材不足は社会的な課題であり、新たなビジネスモデルでその解決に貢献できれば、大きなやりがいを得られるだろう。
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