今回インタビューにお応えいただいた金子さん(写真左側)と二宮さん(写真右側)

誰でも簡単にスマホアプリが作れる革新的なプラットフォーム

かつて、スマホアプリの開発は難易度の高いものだった。その状況に風穴を開けたのが、プログラミング不要で誰でもアプリを作ることができるプラットフォーム、Yappliだ。その革新的なサービスで順調に業績を伸ばし、成長は加速し続けている。

——まずは、事業内容を教えてください。

金子さん(以下、敬称略):ノーコードで、スマートフォンのアプリを開発から運用、更新までワンストップで行えるクラウドサービス、Yappliを提供しています。社内にエンジニアがいらっしゃらない企業様でも、 iOS、Android向けのアプリを簡単に作ることが可能です。

二宮さん(以下、敬称略):10年前、スマホアプリの開発には、膨大な時間と労力が必要でした。社内にエンジニアを抱える大手企業にしか作れないものだったのです。スマホアプリを誰でも簡単に作れるようになったら、社会がもっと便利になるのではないかという思いで開発したのがYappliです。

ヤプリでは「Mobile Tech for All」というミッションを掲げています。テクノロジーの敷居を下げて企業の生産性を高め、人々の生活を便利にしたいという思いで事業を推進しています。

——Yappliを使うと、プログラミングの専門知識がない人でもアプリを作ることができるのですか。

金子さん:はい!例えば、弊社では、全社員を対象に、Yappliを使って実際にアプリを作るという研修を行っています。経理などエンジニアとしての経験がない人でも、まるでパワーポイントの資料を作るように、3日ほどでアプリを完成させてしまうんですよ。

 

 

二宮: iOSとAndroidの両方に対応していること、アプリを作りながら自分のスマホでプレビューできる点も特徴です。Yappliが誕生してから9年、ブラッシュアップしながら進化してきましたが、今も採用プロセスでデモンストレーションをすると、会場から「すごい!」と声が上がるんです。サービスの継続率は99%以上をキープしていて、エンジニアはもちろん、マーケティングやカスタマーサクセスのスタッフなど、メンバー全員がプロダクトに対する自信と誇りを持って日々の業務にあたっています。

——どんな企業がYappliを導入しているのでしょう。

金子:日本を代表する大手企業など、あらゆる業界の600社以上に導入していただいています。導入の目的としては、大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、toC向けビジネスのアプリ。個人のお客さまに製品を販売している企業が、店舗やECでの販売を促進するために活用する場合です。もう1つは、toB向けビジネスのアプリです。社内の情報共有をアプリ化したい、取引先とコミュニケーションをとりたいといったニーズがあります。

以前はto C向けビジネスのお客さまの割合が多かったのですが、コロナ禍でリモートワークの導入が進み、社内で活用する非公開のアプリを作りたいというニーズが増えています。

チームドリブンなカルチャーが会社の成長を加速させる

——サービスの性質上、社員の構成も、やはりエンジニアの方が多いのですか。

金子:およそ250名いる社員の中で、開発を担当するプロダクト本部に所属しているのは3分の1くらいですね。次に大きいのは、カスタマーサクセス本部。社員の数はどんどん増えていて、2021年も約60名の方に入社していただきました。部署ごとの人員比率は、創業当初からあまり変わっていません。

 

 

——カスタマーサクセスにも力を入れているのですね。

金子:Yappliの導入を検討しているお客さまのニーズをヒアリングし、課題を見つけ出してソリューションをご提案するところまでは、マーケティング本部とセールス本部の担当です。実際にご契約をいただいた後のサポートは、すべてカスタマーサクセス本部が行っています。アプリを作る際の支援や、運用が始まってからの伴走など業務は多岐にわたります。増え続けるお客さまの数に比例して、カスタマーサクセスも組織を強化しているところです。

社内外のイベントに参加する際はYappliのバリューのデザインを施したTシャツやパーカーを着用している。

——社内はどのような雰囲気ですか。

二宮:ヤプリでは社員の行動指針として、4つのバリューを定めています。「感動体験の提供」「再構築し続ける」「カスタマーサクセス」そして「チームドリブン」です。中でもチームドリブンは、弊社の特徴的な社風だと思います。創業時から、ヤプリは代表である庵原(いはら)を筆頭に、開発、デザインとコアメンバーがそれぞれの分野に特化して、チームプレイで事業を育ててきた経緯があります。個人の経験や知見はもちろん重要ですが、同時に周りのメンバーへのリスペクトを持ち、チームで成果を上げることを大切に考える人が多いですね。

 

 

金子:理想のリーダー像は、組織によってさまざまです。ヤプリの場合、ひとりのリーダーが強力なリーダーシップで牽引していくというよりは、チームのメンバーとオープンなコミュニケーションをとり、お互いの意見を尊重しながら意思決定をする文化があると思います。たとえば新しい社員を採用するときにも、経営陣やマネージャーだけで決めるのではなく、カルチャーにフィットする「ヤプリっぽい」人かどうか、メンバーの意見を聞くことが多いです。

二宮:先日、全社員を対象に「ヤプリのどんなところが好きですか?」というアンケートを行いました。結果、5割が「ヤプリの人や、一緒に働いている仲間が好き」、3割は「カルチャーや働き方、制度が好き」と回答しています。多くのメンバーが、チームドリブンな文化に魅力を感じていることを再認識しました。

金子:社内には、サバゲー部や脱出ゲーム部など、20以上の部活動があります。slack上に報告が上がっていますが、活動も頻繁で、かなり盛り上がっているんですよ。自分たちの活動に新入社員を勧誘したりと、部署をまたいだ交流のきっかけになっています。

テーブルの一つが卓球台になっていたり、随所に遊び心がみられる。

——風通しのいい雰囲気が伝わってきます。具体的には、どのような方が活躍しているのでしょう。

二宮:弊社のミッションやプロダクトに共感し、オープンなコミュニケーションを通じてヤプリの雰囲気に溶け込めるということが、まず前提になりますね。

SaaS系のサービスを提供する会社は、営業のプロセスがマーケティングとインサイドセールス、フィールドセールスに分かれるなど、分業が進んでいる場合が多いです。そんな中、会社が自分にどんな役割を求めているのかをよく理解して日々の業務に取り組む人が、活躍しやすい傾向があると思います。

金子:例えばこの春、20代の女性社員が、インサイドセールス部門で部長になりました。メンバーとして入社し、トップレベルの成果を上げ続けてマネージャーに昇進した方です。結果を出すことはもちろん、なぜ自分が成功できたのか、ほかのメンバーが再現するためにはどうすればいいのかをわかりやすく伝えられる点も、高く評価しています。

社員を家族のように大切にする「lily制度」で柔軟な働き方を支援

——人事評価は、どのような仕組みになっているのですか。

金子:OKR(Objectives and Key Results)をベースにしています。会社として、今年度は何に注力していくのかという目標を定め、そこからチームが果たすべき役割を導き出します。ただ、業績が右肩上がりに伸びているので、毎月、目標を大幅に上回る結果を出し続けているメンバーも少なくありません。

二宮:定量的な数値目標だけでなく、4つのバリューに紐づけた、定性的な評価も大切にしています。チームドリブンに貢献できたか、カスタマーサクセスの視点に立ち、お客さまの成功に向き合えたかという点も大切なポイントです。

——日常の勤務形態は?

二宮:コロナ禍の影響もあり、オープン勤務という形をとっています。業務内容や個人の都合に合わせ、出社またはリモートワークを選べる仕組みです。出社率は平均2〜3割程度ですね。毎月、月末に行う締会の際には、出社する社員も多いです。

畳エリアもあり、リラックスして仕事ができるようになっている
エンジニア職に人気の半個室の集中ブース
広々としたオープンエリア。フリーアドレスなのでどこで仕事をしてもいい。

——働く場所を選べるのですね。ほかに、特徴的な福利厚生制度などはありますか。

二宮:2022年1月から、働き方を支援する「lily(リリー)制度」を導入しました。Yappli と Family の語尾を組み合わせたネーミングで、社員の家族と、ヤプリにとって家族のような社員を大切にしていきたいという思いが込められています。仕事とプライベートを両立し、結婚、出産、育児などのライフステージに合わせて長く働けるよう、さまざまな制度を整えました。

 

具体的には、結婚休暇や祝い金について、入籍していない事実婚の場合も対象としています。また、不妊治療にかかる治療費の補助や、特別休暇を申請することができます。妊娠・出産の際には、出産立ち会い休暇や、保活コンサルの費用補助制度なども用意しています。

新サービスをリリース。世界を見据え、次のステージへ

——成長著しいヤプリですが、半年後、1年後の展望はありますか?

金子:変化の激しいSaaS業界の中で、私たちのようなフェーズにいる企業にとって、半年後、1年後は大きく状況が変わっている可能性もある、かなり先の未来という感覚です。スマホアプリに関しても、新しいサービスが続々と立ち上がる中、既存のビジネスの枠組みを超えた視点が必要だと感じています。

二宮:創業8年目までYappliに注力してきた弊社も、2021年秋に「Yappli CRM」、2022
年春に「Yappli Lite」と、新たなサービスを相次いでリリースしました。

Yappli CRMは、もともとYappliを活用してくださっているクライアントを中心に、顧客コミュニケーションを促進していただくためのサービスです。社内から「新サービスを立ち上げたい」という声が上がり、社長に直談判した結果生まれました。

 

 

一方、中小企業や個人事業主など、より多くの方にYappliを使っていただきたいという思いからスタートしたのが、Yappli Liteです。

新規事業が立ち上がると、社内に新たな部署ができ、これまでになかったポジションも生まれます。今後も積極的にサービスを開発していきたいと考えているので、既存のメンバー、そしてこれから加わるメンバーにとっても、新たなことに挑戦するチャンスが広がる環境ではないでしょうか。

——少し先の将来を見据えた、今後の展望についてもぜひお聞かせください。

二宮:これからも「Mobile Tech for All」というミッションの実現に向けて進んでいきたいと考えています。サービスを継続利用してくださる企業が多いということは、Yappliがお客さまのビジネスにフィットし、成果に貢献できているということです。日本でこれだけ支持していただけるサービスであれば、グローバルな市場でも使っていただける可能性があるかもしれません。誰にでも使えるプラットフォームを提供するという創業時からの思いを大切にしながら、野望は大きく、世界を見据えて大きな山を登っていきたいですね。

41階のオフィスからは六本木の街を一望できる

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取材のウラ側

「チームドリブン」「カルチャーフィット」。そんな言葉が何度となく飛び交い、終始和やかな雰囲気で進んだ取材だった。社内のメンバーはもちろん、顧客をはじめとするすべてのステークホルダーを尊重し、相手の視点に立って考えぬいてきたからこそ、Yappliはこれほど多くの人に愛されているのだろう。ひとりでは手が届かない大きな夢も、信頼できる仲間と一緒なら実現できる。チームで力を合わせることの純粋な喜びを、同社でなら味わうことができそうだ。