今回お話を伺った総務部部長 手塚達也さん

あらゆるプロフェッショナルを支援する会社

——手塚さんのキャリアについて教えてください。

C&R社には1999年に中途入社しています。前職は建築業界でしたが、コンテンツ全般への関心が強く、異業種からの転身を決意しました。入社後の20年間はテレビ部門に在籍。前半の15年間はエージェントとして各テレビ局を担当し、営業活動と並行して、現場で働くクリエイターの支援にも力を注ぎました。当初は人材派遣や転職支援が中心でしたが、社内に優秀なクリエイターが多数いたことから、番組制作にも取り組む流れが生まれました。

 

2013〜14年ごろには、制作部門の立ち上げに参画。放送作家やディレクターと企画書を作り、何度もテレビ局へ足を運ぶうちに人脈が広がり、請負による番組制作へと事業が発展していきます。その後はリクルーティング部門や人事部門で経験を積み、現在は総務部にて業務を担当しています。

——会社の事業内容をご説明いただけますか。

当社のミッションは「プロフェッショナルの生涯価値の向上」と「クライアントの価値創造への貢献」です。C&R社では、プロフェッショナルを、世界中で活躍できる職種、機械では代わることができない職種、知的財産が蓄積される職種と定義づけています。さまざまな分野のそうした人たちのキャリアを支援しているのが当社になります。

 

当初は「クリエイター」と表現していましたが、医師、弁護士、料理人など、事業領域が拡大したため、十数年前に「プロフェッショナル」という言葉に変えました。現在は人材事業が約45パーセント、請負事業が約50パーセント、残り5パーセントがIPビジネスです。これらを複合的に展開することで、個々人のキャリアアップにつなげたいと考えています。

——どのような社風や企業カルチャーをお持ちですか?

基本的には「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」というグループ統括理念に共感する人が集まっています。人の生き様や熱量に興味を持っている社員が圧倒的に多いですね。

 

創業者であり会長の井川幸広が10年ほど前から「明るく元気に、ちょっぴり厳しく」と言っています。仕事は大変だけども基本は明るく元気にやろう。ただ、野放しにすると緩んでしまうから、ちょっぴり厳しさを忘れないように、という意味です。そういった社風はあります。外部からはよく「C&R社の人は明るくてちゃんとしていますよね」と言われます。体育会系ではないのですが、かといっておとなしい人が集まっているわけでもなく、比較的バランスが取れていると思います。

オフィスに点在するカジュアルな会話スペースが、社員同士の活発なコミュニケーションを促しています

2000人が所属する自社運営スタジオ

——クリエイターの支援を推進すべく、自社にクリエイティブ開発スタジオ「C&R Creative Studios」を設置しているのは興味深いです。

元々、クリエイターの人材支援から始まって、制作もできる会社として拡大していく中で、制作過程におけるさまざまな機能が生まれました。ゲームを例に取ると、シナリオ、デザイン、プログラムなど、それぞれが専門化されたチームになっていきました。これらが個別に存在していたのですが、集めることでより大きな制作機能を持つことになると気付き、2021年に各チームを包括し「C&R Creative Studios」としました。

 

現在、C&R Creative Studiosには2000人が所属しており、増え続けています。多くの機能がここに集まっているため、例えば10個の機能があって、2〜3個のビジネスが不調でも、残りでカバーすることができます。1つの制作会社だと大きな失敗で会社がつぶれることもありますが、当社の場合は常にどこかで補完できるのが強みです。

多彩なジャンルの書籍が並ぶ企画ライブラリは、新しいアイデアやサービスを生み出すための最高の環境

総合職と専門職を行き来できるキャリア制度

——人事制度や福利厚生で特徴的なものはありますか?

キャリアチェンジのしやすさでしょうか。当社には大きく総合職(エージェント)と専門職(クリエイター)の2つがあり、双方の行き来ができるようにしています。請負業務の増加によってプロデュース業が増えたことで、プロデューサー寄りのエージェントが出てきました。逆に、エージェント寄りのクリエイターも増えました。人事としては、グループ全体として社員のキャリアの可能性を広げられる制度だと感じています。

 

福利厚生面では、上場企業として従業員持株会があります。社員として働いている限り、自分の会社の株を持って資産を増やそうということを会社として強く推進しています。会社が活動費の半分を支援する部活動も活発です。現在はダンス部、野球部、ゲーム部、健康麻雀部などがあって、事業部やグループ会社を横断した交流が生まれています。

 

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物理的にも組織的にも壁をなくした新オフィス

——2018年10月に本社オフィスを「新虎通りCORE」へと移転しました。どのような理由があったのでしょうか?

当時、受託事業がどんどん増えていった時期で、さまざまな制作チームが発生していました。物理的に場所が足りなくなったことに加えて、機密保持の下で制作を行うため、ある程度の個室が必要になったことで、5〜6カ所に拠点が分散していました。

 

より大きな仕事を継続的に獲得するには会社を大きく見せることも必要ですし、情報管理の面でも分散は課題でした。何よりも井川が「集まっていることが大事」という思想を持っており、機能とカルチャー、両方の意味で統合しようというのが移転の発端でした。

 

物件選定には約2年かかりました。井川はオフィスデザインや機能など細部にまでこだわりが強く、一つ一つディレクションするので大変でしたが、その結果、素晴らしいオフィスが実現しました。

——新しいオフィス作りにあたって、どういった職場環境を目指しましたか?

フリーアドレス制を導入するなどして、なるべく壁をなくそうというのがテーマでした。4階が受付と会議室、5階がコミュニケーションスペース、6〜14階が執務室という機能分けをし、各フロアは壁を取っ払って広くしています。これは景観を広くすることで、コミュニケーションを活発にしたり、発想を豊かにしたりという狙いがあります。なるべく壁を作らず、移動しやすいレイアウトにしています。

開放的な屋上は気分転換に最適。東京タワーを眺めながら、時にはバーベキューも楽しめる最高のスポット

——移転後の効果はいかがでしたか?

同じビルにいることで、例えば、グループ朝礼一つとっても、違う会社、違う業種の社員がリアルに集まれるようになりました。業種は独特なカルチャーを作ってしまうので、全然違う業種の人が交わることによってバランスを取ったり、融和したりといった効果生まれています。それに伴い、小さなコラボレーションが数多く生まれています。例えば、映像分野では、一般企業や医療業界の広報動画をテレビ制作チームが手がけるなど、協業の機会が増えてきました。

 

また、コロナ禍には、医療機関向けサービスを展開するメディカル・プリンシプル社が、テレビ局の職域接種を受注する事例もありました。一緒のオフィスで働いていなければ、そもそも対話が生まれず、こうしたビジネスの進展にはつながらなかったと思います。

マスク生活で薄れがちだった挨拶の習慣。手塚さんの率先した挨拶運動のおかげで、社内に活気が戻っていきました

Good Job Loungeが生まれた理由

——新オフィスになったことで「Good Job Lounge」という取り組みも始まったと伺っています。具体的にどのようなものでしょうか?

5階のコミュニケーションスペースにある7〜8メートルの大きなカウンターを使って、月1回開催している社内バータイムです。アルコールやソフトドリンクなどを1人につき2杯まで無料で提供しています。スタートは2023年6月です。コロナ時にも新卒採用を止めなかったのですが、その時に入社した人にとっては全員がマスクだらけで顔も名前も分からない状況でした。

 

このままでは社内コミュニケーションに問題があると感じ、コロナが明けたらぜひお酒を出して社員同士の交流を図る場を作りたいと考え、井川に提案したのです。このイベントは平均して毎回150人が参加しています。総務部がバーテンダーとして運営していますが、時には他部署やグループ会社の社員にもカウンターの内側に立ってもらうようにしています。

——何か手応えは感じていますか?

予想以上に同部署内のコミュニケーションに使われています。コロナを機に大規模な飲み会が減ったこともあり、上司が気軽に「ちょっと飲みに行こう」と部下を誘ったりするハードルが一気に上がりました。ただし、社内で飲めるとなると使い勝手がいいようです。グループ会社間の交流も大幅に広がりましたね。

 

Good Job Loungeでは、いわゆるイベントは開催せず、自由な雰囲気を大切にしています。過去に何回かテーマを設けたイベントをやりましたが、イベント主催者の会になってしまい、自由に楽しみたい人には不評でした。部活の勧誘や会社イベントのチラシ配布は認めていますが、場所を使った大々的な企画はしないというのがルールです。

ソファ席、テーブル席、ハイカウンターと多彩な空間が広がるコミュニケーションスぺース。休憩はもちろん、軽食をとりながら働くクリエイターたちの姿も多く見られます

——今後オフィスをどのように発展させていきたいですか?

Good Job Loungeをやってみて分かったのは、もっとクライアントを巻き込みたいということです。私自身は取引先を実際にラウンジに呼んで一緒に飲んでいますが、他の社員も実施できるよう、クライアントをもう少しラフな感じで会社に招くような仕組み、イベントスペースが必要だと思っています。また、以前当社で開いていた「クリエイターズパーティー」のような、クリエイターの方々に感謝を直接伝えられるイベントも復活させたいですね。

オフィスの入り口を彩る創作イタリアン『Cassolo(カッソーロ)』。ランチや打ち合わせに、気軽に立ち寄れる“もう一つのオフィス空間”として活用されています

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取材のウラ側

今回の取材で、クリーク・アンド・リバー社は社員の新しい挑戦を後押しする企業文化が根付いていると強く感じました。経営層へ届くボトムアップの提案により、農業や障がい者雇用、ゲーム開発などさまざまな新規事業が生まれています。当初赤字だった事業も、粘り強く推進することで会社の柱となっているものもあり、挑戦し続けるDNAを感じました。
社員の意見が通りやすく働きやすい環境のためか、一度退職した社員が特別な制度なく戻ってくるケースも少なくなく、社員にとって居心地の良い場所であり続けていることがうかがえました。

魅力的な福利厚生
創作イタリアンレストラン「Cassolo」

エントランス隣には、グループ会社のChef’s valueが運営する創作イタリアンレストラン「Cassolo」があります。料理人の独立開業支援を行う1号店で、旬の魚介や新鮮野菜が自慢です。ランチやカジュアルなミーティング、仕事終わりの飲み会など、多目的に活用でき、社員からはその利便性が好評です。