インタビューにお応えいただいた北村さん(写真左)と土屋さん(写真右)

創業から15年のタイミングで、パーパスを一新し本社を移転

2007年、東京・高田馬場で13坪のオフィスからスタートしたフロンティアコンサルティング。オフィスの設計や施工、改修、物件仲介などの分野で着実に実績を積み重ね、現在は日本国内に9拠点を構えるほか、上海やベトナムにも進出するなどグローバルに事業を展開してきた。

2022年1月には、スローガンやパーパスを一新。大手町ビルヂングへ東京本社を移転し、「未来の働き方」を自ら実践している。

——まずは、このタイミングで新たなパーパスを掲げ、本社移転に踏み切った背景から教えてください。

土屋さん(以下、敬称略):弊社では創業以来、オフィスの設計やデザイン、設備を整える、いわば「ハード面」のプロジェクトに数多く携わってきました。近年はコロナ禍の影響もあり、企業の中で「働き方」についての意識が大きく変わりつつあることを肌で感じています。出来上がったワークプレイスをどのように運営するか、働く人にどう活用してもらうか、「ソフト面」についてのご相談が増えているのです。

お客様である企業の先に、働く個人がいる。そんな気づきをきっかけとして、働く人たちのために私たちができる貢献とは何か、社内での研究や議論を深めていきました。

その結果、「Creating a new work stage.」というスローガン、そして「働く人と働く場所の未来をつくる」というパーパスが生まれたのです。私たちが考える「働く場所の未来」をひとつの形として表現したのが、新たな東京本社「OTEMACHI KORTO」です。

「OTEMACHI KORTO」のメインエントランス

新たなコミュニケーションのハブとなる新オフィス

——「KORTO」とはどういう意味なのでしょう。

北村さん(以下、敬称略):エスペラント語で「中庭」という意味です。入居先の大手町ビルヂングは、築60年の歴史ある建物で、2021年には、100年ビルを目指しリノベーションも完成しています。周囲の新しいビルに比べると背が低いので、オフィス街の中で「中庭」のようにも見えるんですよ。そんな環境で、企業と個人が、パーパスの実現に必要な「関わり」を育める場所を作り上げていくという思いを込めています。

——設計にあたり、重視したのはどのようなことですか。

土屋:「コミュニケーションのしやすさ」はとても大切にしています。弊社が手がけるプロジェクトは、社の内外を問わずさまざまなコミュニケーションを経て進んでいきます。コロナ禍でオンラインの打ち合わせも増えましたが、お客様の潜在的なニーズを引き出したり、微妙なニュアンスを汲みとったりする上で、対面でのやりとりが有効なシーンは多いです。

例えばオフィスのエントランスには、コミュニティ活動を支援するセミパブリックな空間を設けました。オフィス内には、大きなスクリーンに等身大の社員を常時映し出し、東京本社と大阪支店のメンバーが同じ空間にいるような感覚で働ける「tonari」という装置もあります。また、ワークスペースではコミュニケーションを軸に席選択を行うスタイルを採用しています。ふだん接点が少ない部署のメンバーとの会話が生まれて刺激が増えたこともメリットです。

東京本社と大阪支店の空間をつなげ、一体感を醸成する「tonari」

北村:打ち合わせや休憩時間など、気軽に利用できるカフェスペースも設けています。はじめはどう使っていいか戸惑っていた社員も、だんだん使用頻度が増えて、今では好きな飲み物を片手に、コミュニケーションをとるきっかけになっているようです。

日常的な会話や協働を生む、ダイアログスペース「KISSA」

そのほか、パーパスの実現に向けた社員の学びを後押しする「パーパスライブラリー」も設置しました。トレンド、プロジェクト、デザイン、コミュニティという4つのカテゴリーで、ぜひ読んでもらいたい推薦本を選書しています。

基礎力を身につけ、トレンドをキャッチできるよう学びを支援

——社員が自ら学ぶことを大切にしているのですね。

土屋:ワークプレイスに関わる仕事は、一見華やかなイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。不動産や建築についての法令など、幅広く深い知識が必要です。プロジェクトに遅れは許されませんから、こまやかなコミュニケーションや気配りも求められます。企業の経営者と接点を持つことが多いので、好奇心を持って情報を集め、高い視座で会話ができることも大切です。

 

 

弊社では新卒採用のほか、中途採用も毎年行っており、他業種から転職してくる方も多いです。入社された方が、社会人としての基礎力はもちろん、不動産や建設業についての知識をしっかり身につけられるよう、研修プログラムを整えています。

北村:学びの機会を提供するため、パーパスライブラリーのほか、業務に関連する書籍の購入費用を補助する学習支援制度も用意しています。

パーパス実現や学習を促進する「パーパス・ライブラリー」

2017年には、世界の働き方やオフィスに関する情報を発信するメディア「Worker’s Resort」をローンチしています。このメディアの運用や記事の執筆・編集を通して、社員は多くのことを学びます。直接運用に関わらない社員も、毎週社内配信される記事のサマリーに目を通し、自然と最新情報やトレンドをキャッチアップできているようです。

組織と個人の都合、状況に応じて選択できるハイブリッドワーク

——社内を見渡すと、若い方や女性も多い印象です。どんな社風なのですか。

北村:よく雑談をしますし、部門の垣根もなくコミュニケーションが取りやすいです。根は真面目な方ばかりで仕事は皆さん真剣に取り組んでいますね。20代が31%、30代が46%と若手が第一線で活躍していて、男女比もおよそ6:4と、女性比率は年々増加傾向にあります。台湾、中国などのアジア圏以外にも、アメリカ、ロシアといった国籍を持つ多様な社員が在籍しています。

また、社員一人ひとりが気持ちよく働ける環境をつくることを目的にした「Fit(Frontierconsulting Inclusion Trial)」というプロジェクトもあります。いわゆる「働き方改革プロジェクト」で、社内交流や業務効率化の施策をメインに活発な意見交換が行われています。

——建設業界、不動産業界は、一般的に柔軟な働き方が難しいというイメージがあります。貴社の皆さんは、ふだんどのような働き方をしているのでしょうか。

北村:働く場所と時間帯が選べる「ハイブリッドワーク」を採用しています。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2021年1月から運用を始めました。部門ごとに推奨される出社率を目安に、オフィスワークのほか自宅などでのモバイルワークが可能です。始業は午前6時〜11時の間で選択できるので、通院や家庭の事情など個人の都合に合わせて働く時間帯を調整できます。

 

 

土屋:弊社では子育て世代の社員が増え、建設業の企業としては比較的女性の割合も多いです。責任を持って業務を遂行することが前提ですが、男女問わず早朝に仕事をして、子どもを保育園に送ってから出社するなど、仕事とプライベートをうまく両立しているメンバーも多いですね。

——生活環境に合わせて働き方を選択できるんですね。

北村:場所や時間の選択肢が増えることで、仕事に集中しやすい環境が作れるのではないかと考えています。

働く環境を選択できることは、組織にとってもメリットがあります。例えば、施工現場の立ち会いの際に融通が利きやすくなりますし、時間的に余裕が生まれて成果物のクオリティも上がります。災害が起きたとき、自宅で作業できれば業務が滞る心配もありません。

土屋:ハイブリッドワークの「肝」は、個人と組織の両方の観点から、働き方を柔軟に決めていくことだと考えています。組織が決めた働き方を押しつけても、逆に個人の希望だけを重視しても、長期的に見ると働きにくくなるのではないでしょうか。

個人と組織の両方から働き方を見つめ、柔軟な働き方へ啓蒙するカード「ハタラキカルテ」

大切なのは、パーパスに立ち返って自身が果たすべき役割を考えたとき、どんな働き方が自分と仲間にとって最適なのか判断できる、働き方の「マインド」を育てていくことです。細かいルールで社員の働き方をしばるのではなく、最先端の働き方を自分たちが作っていくという意識を、一人ひとりが持てるようになることを目指したいですね。

事業を通じて、サステナブルな働き方の実現に貢献する

——今後、貴社が事業を通じて実現したいことを教えてください。

土屋:パーパスのリニューアルにあたり、事業を通じてどんな社会貢献ができるのか、5つのマテリアリティ(重点課題)を明文化しました。

1.働く人、企業組織、社会にとってサスティナブルな働く環境を構築
2.労働力の開発
3.働く人へ、自己実現機会の提供
4.働き方を豊かにするサービスやプロダクトの開発支援
5.組織間パートナーシップの場を創造

弊社が手がけてきたオフィスビルの改修や居抜き物件の仲介は、建築物のストック活用、そして資源循環の視点から地球環境の再生にも寄与する取り組みです。メディアを使った情報発信やイベントの開催は、自己表現機会の提供や、パートナーシップの場を創造することにつながるのではないでしょうか。

事業を通じ社会に貢献していく姿勢を社の内外に発信することは、社員にとっての「働きがい」にも直結すると考えています。

——改めて、働き方の未来についてのお考えもお聞かせください。

土屋:今、私たちは働き方のパラダイムシフトを経験しています。正社員として会社に所属していれば安泰という時代は終わり、雇用形態の選択肢が増えたり、リモートワークが一般的になったりと、組織と個人の関わり方も多様になっています。そんな中、企業が用意した働き方に個人が合わせるのではなく、個人が求める働き方に企業が寄り添う時代になりつつあるのではないでしょうか。

企業には、パーパスを起点として働く環境を整えることが求められます。個人にとっては、仕事を通じて自分が何を実現したいのかを明確にし、企業と協働するという姿勢が大切になるでしょう。

フロンティアコンサルティングでは、これからもワークプレイスの構築を通じ、企業と働く人、双方にとってサステナブルな働き方の実現をサポートしていきます。社員はもとより弊社に関わるすべての人に、社会とのつながりや、自身の成長を感じられる働き方を提供していけたら素敵だなと思っています。

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取材のウラ側

コロナ禍の影響で働き方のパラダイムシフトが加速し、働く場所のあり方も大きく変わろうとしている。時代の変化をいち早くとらえ、「未来の働き方」を自ら実践するフロンティアコンサルティング。創業以来、「働く場所」と真摯に向き合い続けてきた同社が、新たなパーパスのもと、サステナブルなワークプレイスの発信基地となる。そんな未来が目に浮かぶような取材だった。

この企業で活躍している職種
セールスコンサルタント クライアントに寄り添いながら「働き方や働く場所」の提案を行い、プロジェクトを目的達成に導いていくのがセールスコンサルタントです。「働き方・働く環境」に興味がある方にお勧めです。
デザイナー 設計者・デザイナーとして、ワークプレイスのデザインやオフィスビルの改修を手掛けます。住宅設計や店舗デザインなど、他業界からの転職者も多く、注目されている設計分野です。
コンストラクションマネージャー ワークプレイス構築やオフィスビル改修において、工事の計画から引き渡しまでの施工管理を行う仕事です。様々なプロジェクトを通してモノづくりの楽しさを味わえます。