縦割りの見えない壁を壊す、ワンフロアへの挑戦

―― 2023年2月にゲートシティ大崎へ移転されたとのことですが、新オフィスの設計思想や選定背景について教えてください。

大西: 以前は2つのフロアに分かれてオフィスを構えていましたが、今回の移転によって21階の広大なワンフロアに集約されました。目的は明確で、コミュニケーションの活性化と情報伝達スピードの圧倒的な向上です。事業がグローバルで急成長を遂げるなか、営業や商品開発をバックオフィスが迅速に支えるための強固な基盤が必要でした。

 

このワンフロア化により、物理的な仕切りだけでなく組織の心理的壁もなくなりました。社長が日常的にフロアを1周しながら各部門の状況を確認し、従業員へ気軽に声をかける光景が当たり前になっています。上司と社長がフラットに議論する姿を若い社員も間近で見ることができるため、組織全体の風通しの良さと安心感に繋がっています。

DAISOのエントランス。「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」と「THREEPPY(スリーピー)」は、100円ショップの枠組みを超えた人気の300円帯メインのブランド

―― 他社のオフィスとは一線を画す、大創産業ならではの特徴的なスペースはありますか。

大西: オフィス内に実際の売り場を再現した「模擬店舗」を常設している点が大きな特徴です。取引先様をお迎えするエントランスや商談スペースの動線上に配置されており、バイヤーがディスプレイの仕様を考案する際の参考にするだけでなく、季節ごとに商品が入れ替わる臨場感を全社員が共有しています。商品部に直接所属していないメンバーも、最前線の変化を感じながら企業運営に関わっている実感を持てます。

オフィス内にある模擬店舗には、「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」と「THREEPPY(スリーピー)」の新商品が並べられている

大西: また、他社のような華美でゆったりしたデザインにコストをかけるのではなく、私たちが最も重視する「圧倒的な価格と品質でお客様に価値を提供する」という本質に資源を集中させています。そのため、年間を通じて膨大な件数が行われる商談スペースの充実と効率化に特化し、以前の何倍もの打ち合わせ枠を確保して生産性を最大化しています。

商談エリアを充実させることで、ビジネスを加速。ここから数多くの商品が誕生している

圧倒的な熱量が生む、現場第一主義のコミュニケーション

―― バックオフィスであるグローバル総務の視点から見て、社内の熱量をどのように実感されていますか。

大西:特に年に数回開催される大規模な『大商談会』の期間は、フロア全体が圧倒的な熱量に包まれます。朝から晩まで取引先様との真剣な交渉が行われ、オープンな商談スペースからはものすごいエネルギーが感じられます。私たち管理部門もその重要性を深く理解しているため、期間中は商品部が集中できるようスペースの利用を譲るなど、会社全体で店舗の挑戦をバックアップする体制が自然と出来上がっています。

 

こうした「現場第一優先」の姿勢は当社の創業期から受け継がれるDNAです。店舗のスタッフやアルバイトの方々が日々のリアルな現場でお客様と商品を繋いでくれているという感謝が根底にあるため、年末の繁忙期には本社・本部メンバーが店舗へ応援に行き、 品出しなどの現場業務を率先して手伝います。災害時にお店が開けれない事態が生じた際も、動けるメンバーがすぐに現地に駆けつけ復旧を助け合う強固なカルチャーがあります。

―― 雇用形態に関わらず意見を言い合える、フラットな雰囲気があるのですね。

大川: その通りです。当社では社員やアルバイトといった雇用区分の壁は関係ありません。お客様のため、店舗のために良い提案であれば、誰の意見であっても即座に受け入れて改善に動きます。実際、マネジメントサーベイを実施すると「助け合い」に関する項目が飛び抜けて高い数値を記録します。上下左右斜めの全方向に心理的距離が近く、何かトラブルがあれば全員でガッと集まって解決するフラットさがあります。

 

社内では役職名ではなく「さんづけ」で呼び合う文化が徹底されているほか、個人の固定ロッカーを各デスク島の端に配置する工夫もしています。ロッカーの上にノートパソコンを広げ、立ち話の延長で「この間の案件だけど」と自然に打ち合わせが始まり、その場で爆速で物事が決まっていくスピード感もこの距離感が生み出しています。

 

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 グローバル人事総務法務本部 グローバル総務部 グローバル総務課 係長の大西香奈恵さん

キャリアを自ら切り拓く「DAISO University 」と驚異の挑戦環境

―― 社員の成長を支える教育制度や、キャリアアップの仕組みについて詳しく教えてください。

大川: 私たちは社員の育成に力を注いでおり、独自の企業内大学「ダイソー・ユニバーシティ」を軸に、3年間で約300種類もの多角的な研修カリキュラムを提供しています。必須研修だけでなく自由選択で受けられる講座も豊富で、個人のスキルアップや目指すキャリアに応じて主体的に学べる環境を整えています。さらに、業務に関連する多彩な資格取得支援も行っており、例えば現在は全社を挙げて「生成AIパスポート」の取得を強く推進し、受験費用のサポートや合格に向けたバックアップを行っています。

 

キャリアの透明性を高めるため、部長職以下の全社員が年に1回必ず「自己申告書」を提出し、自身の将来のビジョンや挑戦したい職務を伝える仕組みもあります。この申告を基に年2回の丁寧な面談を重ね、一人ひとりのキャリア実現に向けた対話を継続します。社内公募制度も活発で、実際に新入社員として店舗に配属された後、2年ほど店長としてマネジメントの基礎を学び、そこから本部の各専門部署や海外へ羽ばたくメンバーが多数存在します。

―― 3年目といった若手社員のうちから、非常に大きな権限を任されるケースもあるのでしょうか。

大川: 代表的な事例として、大学生時代にバックパッカーとして世界を回っていたある若手社員のエピソードがあります。彼は入社後に社内公募制度を利用して手を挙げ、なんと3年目という若さでベトナムの製造工場へ出向しました。自らの情熱と強みを活かしてグローバルな最前線で活躍しています。また、バイヤーの職務においてはさらにスケールが大きく、人によっては1人で100億〜200億円規模の年間売り上げを担うこともあります。

 

当然ながらプレッシャーは非常に大きいですが、自分が仕入れた商品が日本国内のみならず世界中の店舗へ供給され、ダイレクトにお客様の手に渡る喜びは何物にも代えられません。かつて私が食器のバイヤーを担当していた際、欧米向けに大型サイズの皿を開発したり、日本で苦戦した桜柄の食器が地球の裏側のブラジルで大ヒットしたりするダイナミズムを体感しました。大きな裁量権を持って挑戦できるからこそ、やりがいが強く、離職率もここ数年で劇的に改善して1桁台を維持しています。

グローバル人事総務法務本部 本部長の大川伸広さん

多様性を包括するグローバルスタンダードと服装完全自由化

―― グローバル展開の加速に伴い、組織のダイバーシティや働き方の柔軟性も進化しているのでしょうか。

大川: 数年前からグローバル化方針を強力に推し進めており、東京本部でも多国籍化が急速に進んでいます。新入社員は毎年約100名前後を迎えますが、そのうち約20名が外国籍のメンバーです。韓国、台湾、インドネシア、ベルギー、ブラジルなど多様なバックグラウンドを持つ社員が同じフロアの同じデスク島で日常的に働いています。宗教上の理由で髭を剃ることができないといった個々のアイデンティティや文化の違いも、グローバル企業として当然のものとして包括し、互いを尊重する風土が根付いています。

 

また、多様性の受容と働きやすさの向上を目指し、2025年7月には服装規定を改定して「服装完全自由化」を断行しました。それまでは男性であればワイシャツにスラックス、ジャケット着用といったビジネススタイルが基本でしたが、現在はポロシャツやTシャツなど、個人のスタイルに合わせたラフな服装での勤務が可能です。導入当初は他者の様子を確認し合うような慎重さもありましたが、今では若い社員を中心に髪型や髪色も含めて自由な自己表現を楽しんでおり、社内の雰囲気が一段と明るくアクティブになりました。

開放的な空間で会話も弾む、見晴らし抜群のミーティングスペース

―― 個人のライフステージに合わせた勤務形態の柔軟性について教えてください。

大川: 育児や介護といったそれぞれの家庭の事情に合わせ、柔軟に変形労働時間を組み合わせられる仕組みを構築しています。例えば、早い方であれば朝の6時に出勤し、15時には退社してお子さんのお迎えや家庭の用事に向かうという働き方を実践しています。会議などのコア業務とのバランスを取りながら、個人の生活リズムに合わせて時間を最大効率で活用できるため、無理のない長期的なキャリア継続が可能です。

 

子育て支援に関しては、小学校卒業時まで時短勤務を選択できる手厚い制度を整えています。また、人事部が産休・育休の対象者に対して必ず個別の面談を実施する体制を敷いており、男性の育児休業取得者も大幅に増加しました。休業期間中も会社の動向や重要な情報が適宜共有されるため、復職時の心理的ハードルが非常に低く、スムーズに職場へ戻れる体制がしっかりと機能しています。

私たちの企業愛とコミュニケーションを加速させる「推しアイテム」

―― 最後に、オフィス内でメンバーのコミュニケーションのハブとなっているお気に入りの場所やアイテムを教えてください。

大川: 私を含めて多くの社員が「推し」として挙げるのが、執飾スペースと明確にメリハリをつけて設計された休憩スペースです。ここにはお菓子や軽食を販売するミニコンビニが設置されており、ちょっとした息抜きの時間に手軽に購入できます。社内には「お菓子を配り合う文化」が深く浸透しており、出張や旅行のお土産だけでなく、近くのダイソーで買ってきた新商品を周囲に差し入れして日常的にシェアしています。

大川:さらに、経営企画本部内の事業戦略部のように海外の新規国開拓を行うチームの周辺には、世界各国のお客様や出張先から持ち帰られた珍しい「海外お菓子」がよく集まります。見たこともない巨大なパッケージや独特な味のお菓子をみんなで囲み、「これは面白い味がするぞ」などと盛り上がる時間は、部署の垣根を超えた自然なコミュニケーションを生み出しています。また、従業員からの熱烈な要望を受けて冷凍庫のアイスクリームの補充量が増やされるなど、上司やチームの枠を超えて「アイス食べる?」と分け合うフランクな遊び心が、日々の爆速な業務を支える活力になっています。

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取材のウラ側

記者が今回の取材で最も感銘を受けたのは、洗練されたオフィス環境の裏側にある「徹底的な現場へのリスペクトとコスト意識」の融合です。華美な装飾を排して商談スペースや疑似店舗に資源を集中させる合理性は、まさにダイソーの商品価値を支える原点そのものでした。お菓子やアイスを配り合うフランクな温かさと、数十億もの売上を若手に託す大胆な裁量権のギャップに、世界を魅了し続ける企業の真の強さを見た気がします。

編集部が推したい福利厚生や支援制度
キャリア自己申告制度&社内公募制度

部長職以下の全社員が年1回将来のビジョンを申告し年2回の面談を通じてキャリア形成をサポートする制度です。 若手であっても自ら手を挙げることで3年目から海外出向やバイヤー抜擢など大きな裁量権を得て挑戦できます。

DAISO University

 3年間で約300種類もの豊富な研修カリキュラムを自由に選択して受講できる手厚い社内教育システムです。 ビジネス基礎からロジカルシンキングまで幅広く学べ、全社で推進するITパスポート等の資格取得費用も支援されます。

成績優秀者向けのグローバル海外研修旅行

年間を通じて優秀なビジネス成果を収め社長賞などを獲得したメンバーを対象とした海外視察研修旅行制度です。 これまでのシンガポールへの店舗店長招待に加え今年からは社員向けにシカゴ研修が始動し世界基準の視野を養えます。