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株式会社船井総研ホールディングス
船井総研ホールディングスは、中小・中堅企業の経営支援を核とする総合コンサルティングファームです。多岐にわたる業種・テーマで「現場密着型」コンサルティングを提供し、お客様の業績アップと企業価値向上にコミットしています。現在は「サステナグロース(持続的成長)」を掲げ、DX推進などで日本経済の活性化を支援しています。
Official Site株式会社船井総研ホールディングス(HD)は、船井幸雄氏によって1970年に創業された日本の中小企業コンサルティングの草分け的存在です。現在は持株会社として、船井総合研究所をはじめとする複数のグループ会社の戦略立案とグループ経営を担っています。そんな同社は2024年4月、東京本社オフィスを丸の内から八重洲へ移転。それから約1年、どのような変化が起きているのでしょうか。同社ヒューマンキャピタル本部 タレントディベロップメント部長の山本翼さんと、同部リクルーティングチームの堤るりかさんに話を聞きました。
目次

皆が「日本一」を目指すカルチャー
——昨今の船井総研グループのビジネストピックスを教えてください。
山本:当社は中堅・中小企業向けのコンサルティングを中心に展開してきましたが、そうした企業の売上高100億円超えを支援する「100億企業化プロジェクト」に注力しています。これは国の政策とも合致していて、さらなる成長を目指したい地方の中堅企業からのご相談が多いですね。
また、今年1月に船井総研あがたFASという合弁会社を立ち上げました。これは税理士法人を中核としたあがたグローバル経営様との合弁会社で、M&A仲介だけでなく、親族内承継のスキーム作りなど、相続税の問題も含めた事業承継支援にも取り組んでいます。例えば、「経営の実態は息子に移っているが、株式の譲渡が終わっていない」といった課題を抱える会社のサポートを行っています。

——どのような企業文化や特徴的な社風をお持ちでしょうか?
山本:創業者が残した考え方の一つに「力相応一番主義」があります。「小さくてもいいから一番を取ろう」という発想でして、当社のコンサルタントは自分がトップになれる領域を決めて、そこでのノウハウと実績で日本一を目指します。
これはコンサルタントだけでなく、エンジニアやスタッフにも共通します。ただ単に日常のオペレーション業務をこなすのではなく、例えば、人事担当者であれば「国内のコンサル採用で日本一を目指す」というように、誰もが自分の領域で一番になることを心掛けています。
また、「さん」付けの文化も特徴的です。上司や社長に対しても、あるいは上司が一年目の社員に対しても「◯◯さん」と呼びます。これは互いをプロフェッショナルとしてリスペクトする企業カルチャーの表れです。

堤:私が感じるのは、人との距離の近さと風通しの良さです。経営トップが考えていることが現場社員に伝わるよう、グループ全体のカンファレンスが年に2回開催されていますし、オフィスの作りも経営陣と一般社員が区別なく同じフロアで、本当にすぐ隣に座っているような状況です。「今、席にいるから話し掛けに行こう」といった具合に気軽に相談できる環境があります。

山本:もう一つ、新しいものにチャレンジするスピードと、昔から大切にしているカルチャーをを大事にしつづけるという双方のバランスも社風ですね。例えば、今年の新入社員研修では、全員にGoogleのAIである「Gemini」の有料版のアカウントを配布して、簡単なアプリ開発などができるレベルまでのスキル習得を目指す研修を行いました。
一方で、その翌日には、お客さまに手書きの手紙を書く「レター法」の講座を実施しています。これは創業者の教えで、手書きのお手紙を書くこと、さらには便箋や切手の選び方などに手間や時間をかけることが相手に対する思いやりだという発想です。デジタルとアナログの両方が共存している点が当社らしいかなと思います。


オフィス統合を機にグループシナジーを育みたい
——2024年に東京本社オフィスを八重洲ミッドタウンへと移しました。その背景を教えてください。
山本:丸の内にあった旧オフィスではいくつかの課題がありました。まず社員数が過去10年で780人から1500人へと約2倍に増え、執務スペースが不足していました。人口密度が高くなり、社内ネットワークがつながりにくいなどインフラ環境の問題も生じていました。
また、旧オフィスは21階と22階に分かれており、フロアが1つ違うだけでもコミュニケーションに支障がありました。さらに、グループ会社が首都圏では五反田、浜松町、本郷三丁目、八丁堀などの拠点に分散していて、連携が困難でした。例えば浜松町にあるグループ会社に行くと「監査で来たのか?」と警戒されているのではないか?と思うほど距離感があり、グループシナジーを発揮するのが難しい状況でした。
そこでオフィス移転を具体的に検討し、東京駅近辺でグループ全社がワンフロアで入居できる物件を探した結果、東京ミッドタウン八重洲に決定しました。
移転プロジェクトは2023年4月頃にスタートし、ホールディングスの総務部門を中心に、各事業会社からもメンバーが参加する約30人規模のチームが結成されました。グループ各社の社長もプロジェクトのオーナーとして意思決定に関わりました。


——移転プロジェクトで苦労した点はありますか?
山本:各社が別々の拠点にあったため、どうやってカルチャーを一体化するかが不安でした。例えば、朝礼の声が隣の会社にとってうるさく感じないか、活発に声をかけ合う文化を持つ会社と、そうでない会社とのギャップなど、さまざまな懸念がありました。
しかし、単にオフィスを一つにまとめるのではなく、グループとして次のステージに進むための移転という位置付けを明確にし、各社間でのコミュニケーションを通じてプロジェクトを進めていきました。
堤:実際の引っ越し作業はスムーズでした。移転の1〜2カ月前からキャビネット整理などの準備を進め、最終的には1週間程度で荷物の梱包と荷解きを行いました。元々、当社はオフィスにあまり荷物を置かない働き方をしていて、個人用のロッカーもありませんから、社員の負担は比較的少なく済んだと思います。


——新オフィスのコンセプト「サステナグローススクエアTOKYO」について教えてください。
山本:これはグループパーパスである「サステナグロースカンパニーをもっと。」が由来です。変化が激しい不確実性の時代においても、力強く持続的に成長する会社を「サステナグロースカンパニー」と定義したこのグループパーパスは2023年1月に策定され、新オフィスはそれを体現する場として位置付けられています。
来客数が約2倍に増加
——新オフィスならではの特徴や工夫はありますか?
山本:1300坪あるオフィスのうち、半分の650坪を来客エリアに割り当てています。これは他のコンサルティング会社と比べてユニークな点で、当社のビジネスモデルは、経営者向けのセミナーや研究会(勉強会)が重要な受注動線になっています。
東京オフィスにおいて現在は年間で有料セミナーを約1500回、そのうちの半数以上は来場型で開催しています。勉強会は213種類あり、毎月平均3600人のお客さまがオフィスに来られます。来客規模は丸の内時代に比べて約2倍に増加しました。
また、創業者の書籍や手書き原稿を展示する「ファウンダールーム」も設けました。経営者のお客さまには特に好評で、展示品に関心を持っていただいています。

——なぜそれほど来客機能を重視しているのでしょうか?
山本:当社のオフィスは単なる社員の働く場所ではなく、クライアントなどとの交流を生み出す重要な拠点です。お客さまにどのような会社なのかを実際に見ていただくことは関係構築において非常に大切だと考えています。また、機関投資家など、中小企業向けコンサルティングがどのようなものか見えにくい方々に対して、「こういう会社です」と視覚的に示すことができます。
——その他の特徴はいかがでしょうか?
山本:ネットワーク回線の課題があったため、Zoom専用のネットワーク回線を確保したほか、オンライン会議用の個室ブースも53台設置しています。丸の内時代は10台程度だったものを大幅に増やし、予約が取りにくい状況を改善しました。
堤:ワンフロア化に伴い、グループ各社の採用担当者などとの連携が非常にやりやすくなりました。私はチャットで連絡をするのがあまり得意ではないので、これまでは苦労していましたが、今は共有スケジュールを見て相手が空いていれば、直接席まで行って話し掛けられるようになりました。そういった点でもオフィスの壁がないのはとても業務効率が上がっています。これは他の職種の社員も言っているので、新オフィスの“推し”ポイントかなと思います。
挨拶を徹底
——移転によってどのような効果がありましたか?
山本:オフィスツアーの依頼が大幅に増え、平均すると一日1件はあります。「見られるオフィス」になったことで、社員の誇りにもつながっています。
また、来場型の採用イベントに切り替えたところ、昨年7〜9月の採用来客数は前年比2.7倍に増加しました。特に学生に対してはオフィスツアーを通じてコンサルティング業務の実態を体感してもらえるようになりました。2026卒の採用も好調で、移転の効果を実感しています。
もう一つ、移転を機にグループカルチャー推進室という専門部署を設置し、毎朝20分間、挨拶プロジェクトのメンバーがエレベーターホール前に立ち、出社する社員に挨拶する取り組みをしています。コロナ禍などを経て、挨拶をはじめ社員同士のコミュニケーションが希薄になっていたため、意識的にこのような活動を始めました。すると、あるお客さまが「八重洲オフィスでは皆さんが挨拶してくれる」と驚かれ、その後、そのお客さまとのお付き合いが急速に深まるという展開もありました。


堤:私は2023年入社で、最後の丸の内オフィス勤務組ですが、当時は挨拶をしても返してくれない方が多くいました。でも、今はまったく知らない社員でも「お疲れさまです」と挨拶を交わすようになりました。活気のあるオフィスに変わって嬉しく思いますし、新卒の社員たちも積極的に挨拶をしてくれるようになりました。
山本:グループシナジーについては、各社の朝礼にゲスト講師を依頼するなど、社員間の交流が生まれるようになりました。また、事業会社の役員の兼務も増え、会社の垣根を超えて一緒にセミナーイベントを企画したり、研究会を立ち上げたりする動きも増えています。
——オフィス移転の効果を数値化されているそうですが、その背景は?
山本:やはり、コンサルティング会社として、数値化して投資対効果を把握し、お客様にも当社の事例をお示ししたいという思いがあります。オフィス投資は固定費の増加につながるため、その効果を定量的に示す必要があります。オフィスに投資する以上は、それ以上に稼げる算段がないと慎重に検討すべきです。
私たちがコンサルティングしている企業でも、売り上げ上昇に伴い、オフィス移転を望まれることがありますが、薦めるのではなく、むしろ止めるケースもあります。「お金に余裕ができたから良い場所に引っ越したい」という発想は危険で、世の中の急成長ベンチャーでもオフィスの固定費が重くなって経営が厳しくなる状況は散見されます。ですから、私たちは移転を決める時点から、「どうやって投資の元を取るか?」を徹底的に考えていました。

家族からも応援される会社に
——新オフィスでの新たな取り組みや今後の展望を教えてください。
山本:「ファミリーデー」として社員の家族をオフィスに招くイベントに力を入れ始めました。丸の内時代は質素なオフィスだったため家族を呼ぶことはほぼありませんでしたが、昨年から5月5日の子どもの日に合わせてイベントを開催するなど、家族に当社をもっと知ってもらい、応援してもらえるような存在でありたいと考えています。

また、内定者の親に向けたオフィスツアーを昨年からスタートしました。それに併せて、当社で最大規模の経営セミナーの見学も組み合わせることで、どのような会社かを理解してもらい、安心感を持っていただくことを目指しました。
今後については、2026年1月に大阪オフィスの移転を計画しています。大阪オフィスは関西の学生採用の拠点としての位置付けが強いため、東京オフィスでの経験を生かして、採用拠点としての機能をもっと強化していきたいと考えています。
——本日はありがとうございました。

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取材のウラ側
今回取材にご協力いただいた2名のインタビュイーは、先輩後輩関係を感じさせない和やかな雰囲気でした。社員は互いをプロフェッショナルとして尊重し、「さん」付けで呼び合うフラットな社風が特徴的です。壁のないオフィスが活発なコミュニケーションを促進し、役員との距離の近さも印象的でした。風通しの良さと意思疎通のしやすさが、働きやすい環境を生み出していると感じました。
魅力的な福利厚生
ウェルカムバック人財(ジョブリターン制度) | 船井総研には、一度退職した社員を再び迎え入れるジョブリターン制度があります。独立したコンサルタントが復帰する例も多く、同社がいかに働きやすい環境を整えているかを示す証拠と言えるでしょう。 |
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