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バーソン・コーン&ウルフ・ジャパン
国内外のクライアントに広報サービスを提供する外資系PR会社、バーソン・コーン&ウルフ・ジャパン(BCW)。1953 年にアメリカで創業し、日本では1973年12月から事業を展開している。世界最大のマーケティング・コミュニケーションズグループ、WPPの傘下にあり、メディアトレーニングやデジタルメディアの分野にも注力している。
Official Site日本で事業を開始して50周年を迎えるPR会社、BCWでは、多様なメンバーが働きやすい環境を作る「インクルーシブ」を重視している。世界中に広がるネットワークを生かし、WPPやBCWが提供するグローバルなトレーニングに参加する機会も多いという。エグゼクティブセクレタリー(人事部)の斉藤 真子さん、シニアアカウントエグゼクティブの長尾 甫さん、アカウントエグゼクティブの渡辺 幸子さんに、インクルーシブな社風や、PRという仕事のやりがいについて話を聞いた。
目次
50周年を迎えるグローバルコミュニケーションズエージェンシー
——BCWの事業内容を教えてください。
斉藤さん(以下、敬称略):1953 年にアメリカで創業し、日本では1973年12月から事業を展開している、外資系PR会社です。国内外のクライアントに広報サービスを提供し、メディアリレーションだけでなく、メディアトレーニングやメディア調査、報道分析も手掛け、デジタルメディアの分野にも力を入れています。
スタッフはクライアントやプロジェクトごとにアカウントチームを編成し、クライアントの広報目標達成のために、クライアントと協業して業務をすすめます。具体的には、広報戦略の立案やメッセージの構築、報道やインフルエンサーのニーズの洗い出し、ストーリーの発掘と配信、そして、メディアに掲載される関連記事のモニタリング、プレスリリースの作成や取材誘致など多岐に渡る業務を行っています。
「広告」会社は知っていても、「広報」(PR)会社には馴染みがないという方もいるかもしれません。例えば、テレビなどで企業の記者会見を見たことがあると思います。どんな質問が予想され、どのように答えるべきかなど、クライアントにアドバイスをするのも私たちの仕事です。
——クライアントの業種や規模について教えてください。
斉藤:日本の有名企業から外資系の企業まで、幅広いクライアントをサポートしています。金融、飲料、食品、エネルギーなどクライアントの業種は多岐にわたり、最近ではIT関連のお客様も多いです。
——ほかのPRエージェンシーと比較して、どのような強みを持っていますか。
斉藤:BCWは世界最大のマーケティング・コミュニケーションズグループであるWPPの一員です。日本国内にも約15のグループ企業があり、約1,000人、30カ国の国籍を持つスタッフが勤務しています。このグローバルなネットワークをシームレスに活用できることが、私たちの大きな強みです。最先端のグローバルな情報を取り入れ、ローカルマーケットのニーズに合わせて戦略を立てることを得意としています。
グループ内のコミュニケーションも活発で、休暇で日本に来る海外のメンバーが日本のオフィスに立ち寄ったり、逆に日本から海外に行ったメンバーが、旅行先のオフィスに立ち寄ったりという交流もごく自然に行われています。
多様なメンバーが信頼し合い、安心して働ける「インクルーシブ」な環境を目指して
——組織作りの上で、大切にしていることはありますか。
斉藤:私たちは複数のコアバリューを掲げていますが、その中でも、特に大切にしているのが「インクルーシブ」です。これは、メンバーがお互いに信頼し合い、安心して仕事ができる環境を作るための基盤となる考え方です。
知識としてインクルーシブの重要性がわかっていても、行動に移せなければ意味がありません。BCWではさまざまな機会に繰り返しインクルーシブの実践について学ぶので、意識の中に浸透し、自然と行動できるようになります。
コアバリューを体現しているメンバーに投票をする「スタープログラム」という仕組みもあり、実は私も選んでいただいたことがあります。受賞したメンバーは、副賞として、それぞれ感謝を伝えたい仲間を誘い、オフィスのある恵比寿ガーデンプレイスで食事をする機会を得られます。こうした取り組みの結果、年齢や役職に関係なく安心して意見を言い合える雰囲気が醸成されていると思います。
福利厚生の面でも、多様な人材が働きやすい環境を作るため、さまざまな工夫をしています。メンバーのニーズを受けて整備した「働く親と赤ちゃん応援制度」もそのひとつです。未就学児を持つ従業員をサポートする目的で、現金を支給しています。また、有給休暇とは別に傷病休暇を取得できるのですが、その一部は自分の体調不良だけでなく、家族の通院に付きそうなど、ファミリーケアにも使うことができます。
——BCWの教育・研修制度についても教えてください。
斉藤:新卒採用、中途採用のメンバーを対象に、名刺交換などの基本的なビジネスマナーから、プレゼンテーショントレーニング、プレスリリースの書き方、メディアコンタクトの方法など、実践に即したトレーニングを、対面、オンライン、そして、先輩からのOJTで丁寧に指導しています。WPPやBCWが提供するグローバルなトレーニングも充実しており、学びの機会が非常に多い環境です。
——入社前からビジネス英語に熟達していないと、BCWで働くことは難しいでしょうか。
斉藤:グローバルなコミュニケーションやトレーニングは英語で行われるので、英語が分かる方のほうが仕事の幅が広がるかもしれません。ただ、語学は入社時の必須条件ではありません。例えば、現在ディレクターとして活躍しているスタッフは、学生時代から当社でアルバイトをしていましたが、海外旅行にも行ったことがなく、もともと英語が得意というわけではありませんでした。入社後に英語を学び、今では英文メールはもちろん会議でも英語で発言できるようになっています。
語学だけにとどまらず、「これだったら誰にも負けない」という強みを持っている方に、ぜひ入社していただきたいと考えています。先ほどお話したディレクターは、学生時代からトレンドをキャッチすることが得意という強みを持っていました。PRの仕事に興味と情熱があれば、年齢、ジェンダー、国籍、どんな属性を持つ方でもウェルカムです。
国や会社の垣根を超え、グループ一体となって学びを深める
——ここからは、広報の現場で日々クライアントと接しているメンバーのお二人にもお話を聞いていきたいと思います。長尾さんは、どのようなきっかけでBCWに入社しましたか。
長尾さん(以下、敬称略):以前は日系のPR会社で働いていました。知人からBCWを紹介され、グローバルな環境でスケールの大きい仕事に挑戦できそうだと感じ、2022年に転職しました。
——現在の業務内容を教えてください。
長尾:IT、ヘルスケア、飲料業界のクライアントを担当しています。プレスリリースの配信、メディアからの問い合わせ対応、取材誘致、イベントや記者会見の運営まで、PRに関する業務全般を担当しています。
——普段はどんな働き方をしているのでしょう。
長尾:テレワークとオフィスワークのハイブリッドで仕事をしています。現在、出社は平均して週2回、そのうち1日はチームで集まる固定日、もう1日は自分で自由に選べるので、かなり効率的に、柔軟に働けていると思います。テレワークの日も、わからないことや困ったことがあればチャットやメールでメンバーに相談することが可能です。メンバーは気さくで話しやすい人が多く、オフィスは和気あいあいとした雰囲気なんですよ。
——WPPで働くメリットは?
長尾:グローバルなメンバーと一緒に仕事をしたり、学んだりするチャンスが多いことは大きな魅力です。グループ内のメンタープログラムがあり、私自身もシンガポール在住のメンターと、定期的に仕事の進め方などを相談しています。
2023年1月からは、「WPPアカデミー」という対面形式の社内講座が毎月開催されています。WPP内には、広告やブランドコンサルティング、デジタルエージェンシーなどさまざまな企業があります。入社5年目くらいまでのスタッフが集まって、レクチャーを受け、グループでワークショップに取り組んだり、相互理解を深めたりする貴重な機会になっています。会社の垣根を超えた仲間が増えることは、業務の上でも大きな力になると思います。
専業主婦からリカレント教育を経てBCWへ 育児と両立し柔軟に働く
——渡辺さんが入社したきっかけを教えてください。
渡辺さん(以下、敬称略):私には2人の子どもがいます。BCWに入社する以前は専業主婦でした。子どもがある程度大きくなったので、セカンドキャリアを築きたいと考えるようになり、女性の再就職を支援する大学のリカレント教育課程を受講しました。マーケティングや内部監査などさまざまな領域の学びを深める中で広報の仕事に魅力を感じるようになりBCWに入社しました。現在は長尾と同じチームで、テクノロジー関連のクライアントを担当しています。
——ブランクを経ての再就職、不安はありませんでしたか。
渡辺:最初は正直、不安もありました。そんな中、代表の竹村と面談する機会があり、「BCWには、年齢、性別、国籍、バックグラウンドは関係なくいろいろな人がいる。ぜひここでキャリアを伸ばしていってもらえたら嬉しい。仕事をする中で難しい面もあると思うが、一人ではなくチームがいるので、プロフェッショナルとして頑張ってほしい」と言葉をかけてもらい、「BCWで努力していきたい」という思いが強くなりました。
自分で調べてもわからないことがあれば、いつでも上司や先輩に相談できるので、安心感があります。私自身もメディアへお送りする取材誘致のメールの書き方から、丁寧に教えてもらいました。
——育児との両立についてはいかがですか。
渡辺:BCWでは、フレックスタイム制を導入しています。コアタイムは11時から15時と決まっているので、子どもが学校に行ってから出社し、ミーティングや取材がない時は15時過ぎに自宅に戻って在宅ワークをするなど、フレキシブルな働き方ができています。当社のメンバーは女性が多く、子育て中の方も珍しくないので、例えば子どもが急に体調を崩して仕事を抜けなければならないときにも、サポートしてもらえる体制があります。非常に働きやすい環境ですね。
斉藤:PR会社は、世界的に見ても女性が多く活躍している業界です。当社では、子育てや介護をしている社員はもちろん、結婚を機に地方へ転居し、テレワークで仕事を続けているスタッフもいます。担当する業務にもよりますが、ライフステージが変化したから会社を辞めるのが当たり前ということではなく、どうしたら気持ちよく働き続けられるかを一緒に考えていきたいと思っています。
開放的な雰囲気で、リラックスしながら働ける恵比寿の新オフィス
——2022年にオフィスを移転されたそうですが、新たなオフィスの魅力についても教えてください。
長尾:恵比寿の新オフィスでは、BCWを含む複数のグループ内企業が入居しています。フロアの真ん中には大きなテーブルがあり、コーヒーが飲めるカフェのような空間になっているんです。ふだんはフリーアドレスの執務スペースで仕事をしつつ、気分転換やリラックスをしたいときにはカフェスペースに移動して過ごすことが可能です。お弁当を食べたり、チーム同士で簡単なミーティングをしたりする際に活用しているメンバーもいます。気持ちを切り替え、落ち着ける空間がオフィスの中にあるのはいいですね。
渡辺:執務スペースには、デスクのほかに、オンラインミーティングなどで使える1〜2人用の個別ブースもあり、予約をすれば、いつでもそこで仕事をすることができます。個別ブースは大きな窓に面していて、空を横切っていく飛行機が見えます。開放感があり、リラックスできるお気に入りの空間です。飛行機を眺めながら「次の休みはどこへ行こうかな」と考える時間が、モチベーションにもなっています。
斉藤:私も窓側の席が好きで、出社する度、大きな窓から見える東京タワーや六本木ヒルズを写真に収めています。昨年、オフィスに入居した際、BCWのスタッフが集まって、大きな「赤富士」のパネル作りをしました。自宅にあった古着やボタン、チラシなどを持ち寄り、色別に分けて貼り付けていきました。コロナ禍で、人が集まる機会も少ない中、仲間とわいわいお喋りしながらひとつの作品を作り上げたことが本当に楽しくて。オフィスに飾られた絵を見るたびに、ワクワクした思い出がよみがえります。
アンテナを高く張り、「企業の良心」として一流のPRパーソンを目指す
——最後に、今後の展望や目標、BCWに関心を持っている方へのメッセージをお願いします。
長尾:私たちのチームは、クライアントの満足度を高め、長期的な関係を構築することを目指しています。依頼された業務だけでなく、お客様に寄り添って新たなPRの施策をご提案し、期待を上回る成果につなげていきたいです。
PR会社での業務には、情報のインプットが欠かせません。担当するクライアントの業界のみならず、社会全体の動向やトレンドに日々アンテナを張る必要があります。好奇心を持ち、新しい知識を吸収することに貪欲な方であれば、当社での仕事を楽しめると思います。
渡辺:私たちが介在することによって、クライアント企業に新たな視点を提供したいと考えています。当社の創業者、Harold Burson(ハロルド・バーソン)は、「PRは企業の良心」という言葉を残しています。この理念を胸に刻み、倫理や社会的責任にも照らしたご提案ができるよう、スキルを磨いていきたいと思います。
また、子どもに自分が誇りを持って働いている姿を見せられることも、私自身の大きなやりがいのひとつです。グループ全体に多様性を受け容れる土壌があるので、子育て世代の方にも、ぜひ入社していただきたいですね。
斉藤:スタッフに対しては、会社からキャリアパスを押し付けるのではなく、一人ひとりが自分自身と対話し、将来のキャリアを明確に描いてほしいと思っています。そのため年に一度、上司とのパフォーマンスレビューの機会も設けています。自ら考え、行動できる人材を育てることが、個々の成長だけでなく会社としての成長にも結びつくと考えているのです。
BCWではこれからも、インクルーシブな環境作りを推進していきます。広報のプロフェッショナルを目指す方々とお会いできることを楽しみにしています。
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取材のウラ側
「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉を耳にする機会が増えたが、多様なメンバーが実際に価値を発揮できる場を構築することは簡単ではない。そんな中、本気で働きやすい環境作りに向き合っているのが、今回取材したBCWだ。インタビュー中も繰り返し「インクルージョン」という言葉が登場し、個性を受け容れることが、文化として浸透している社風がうかがえる。
企業倫理に対する社会の目が厳しくなる中、PR会社の果たす役割は大きくなる一方だ。伝えること、コミュニケーションをとることに関心のある方にとっては、働きがいのある環境と言えるだろう。
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