今回お話を伺った石亀幸大さん
今回お話を伺った樫山健一さん

伝わり、動かすコミュニケーション変革のパートナー

テクノロジーの進化やメディアの多様化、さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速度的に進むなかで、企業のコミュニケーション戦略にも変化が生まれている。こうしたなか株式会社アマナは、事業領域を広告マーケットに限らず、インターナルコミュニケーションや新規事業開発、マーケティングを含めた、コミュニケーションマーケットと設定し、クライアント企業の「Co-Creation Partner」を標榜、事業を展開している。

―事業内容について教えてください。

石亀:クライアント企業の課題や価値を見出し、クリエイティブで解決するビジュアルコミュニケーション事業です。

具体的には、写真やムービーの撮影、CG制作といったビジュアル制作をはじめ、ブランディング、WEBデザインや展示・イベントなどのコミュニケーション施策まで手がけています。40年以上にわたる実績から培ったナレッジや豊富なクリエイティブ資源を駆使して、企業のコミュニケーション変革に役立つことをめざした事業です。

―企業のコミュニケーション支援を行ううえで、大切にされていることは何でしょうか。

石亀:誰に何を伝えたいのかを的確に把握し、相手に伝わるコミュニケーション手法やビジュアルは何かを第一に考えて提案することを大切にしています。ビジュアル表現にこだわりを持っていますが、素晴らしいビジュアルを生み出すだけでは、クライアント企業の利益を最大限に引き出すことはできません。

広告においては、その先に人を「動かす」ことも重要ということです。また、当社は「世界にノイズと美意識を」という理念を掲げていますが、ここでのノイズとは刺激や気づきを与えて課題の提起を促すものを意味します。その課題に対して、美意識をもって期待を超えた解決をめざす。この2つの感性が「伝わり、動かす」の源泉になると考えられています。

―最近、依頼の増えている広告コミュニケーションは何ですか。

石亀:近年、コミュニケーションチャネルの幅が広がっています。なかでも現実世界を拡張するバーチャルとリアルを行き来するような新たな顧客体験のニーズが高まっています。当社では、このような新しいコミュニケーションにも取り組んでいます。

谷尻誠氏のデザインによる〈amana virtual museum〉
〈amana virtual museum〉を活用したフォトフェスティバル〈浅間国際フォトフェスティバル2022 PHOTO ALT」。バーチャル会場に作品が展示してあり、作品の詳細情報や、作家のインタビュー映像などもシームレスに閲覧できる。

例えば、当社が得意としているビジュアル表現と3DCGの技術を駆使して、バーチャルのスペースをつくり、ギャラリー、ライブイベント、Eコマースの他、ショールームなどに活用する「アマナバーチャルコネクト」というサービスも開発中です。

このような案件を手掛ける上で、当社は部門を超えた横断的なチームを編成します。コンセプト企画から実制作、それをより多くの人々に届ける戦略や仕組みの設計など、全体的なコンサルティングをワンストップでプロデュースし、提供できるところが強みです。

働きやすさを支えるシステム

―さまざまな職種の方が在籍されていると思いますが、働き方について教えてください。

石亀:プランナーやプロデューサー、クリエイター、バックオフィスなど、グループ全体の従業員数が933人(2022年1月現在)、約7割がリモートワークです。現在はコロナによって変化した新しい働き方として、「ハイブリットワーク」を推進しています。お分かりのとおり、多くの職種の社員が在籍しており、それぞれの業務に応じて柔軟に働く場所を変えることができます。

一方でこれらの働き方を支え、生産性を高めるためには、システムで補う必要があります。そのため、さまざまなシステムを組み合わせることで、より働きやすいプラットフォームを構築しています。

天王洲オフィスでのオフィスワーク風景

―どのような方が活躍されていますか。

石亀:当社は自ら手をあげて「これをやりたい」という人に対して、年次に関係なく積極的にチャンスが与えられる会社です。そのため、主体的に行動している人がやはり生き生きしていますね。また社内の雰囲気について、自由なところが気に入っていると話す社員が多いのですが、それはお互い刺激し合いながらも、それぞれのこだわりを尊重し合っているからではないかと思います。

―社内のコミュニケーションはどのように図っていますか。

石亀:社内の誰が何をしているかを知る「know who」を目的とした社内メディア「akb(amana knowledge borad)」が役立っています。

akb(amana knowlede board)画面

akbには専属の編集部員が3人いて、「人」を主役とした取材記事を毎日配信しています。記事自体も面白いのですが、取材対象者の名前をクリックすると、その人が手掛けた仕事の実績を見ることもできます。社内で誰に相談すればよいかがわからないとき、誰と仕事をすればベストかを知りたいときにも役立ちます。akbをきっかけに社内コラボレーションにつながることもあるんです。

オフィス内のモニターにもakbの最新記事が配信されている。

また、「One amana! TVスタジオ」という動画の撮影・編集・配信を行う専用スタジオを保有しています。ここでは当社の最新事例やニュースを共有する番組の配信、半期に一度、経営陣からスタッフへメッセージを発信する全社イベント、その他さまざまな研修に活用されています。これらの映像もakbで記事化されます。

 

One amana! TVスタジオ風景

 

実は、インナーコミュニケーションツールとして開発したakbですが、他社からこの仕組みを使いたいという要望があり、現在は「XBOARD(クロスボード)」という名称で販売も行っています。また最近では「One amana! TVスタジオ」も他社の見学希望が増えており、中には導入サポートのお話もあると聞いています。

―システム開発も手掛けておられるのですね。

石亀:業務課題をITで解決することにも力を入れています。今年稼働した新しい販売管理システムにより、経費精算などのバックオフィス業務をはじめ、販売管理のワークフローもフルデジタルに移行し、完全ペーパーレス化を実現しました。クライアント企業や協力会社との受発注、納品と受領確認、売上計上などのすべてをデジタル化しています。

この販売管理システムでは、お金の情報だけではなく、案件に携わった社員や外部のクリエイターの情報も登録しています。さらにクラウドストレージサービス「Box」と連携させ、Boxでやり取りしたデータも案件と紐づけています。

そうすることで、過去の案件を閲覧し、ナレッジ(知見)として活用できるようにしているわけです。新たな仕事に取り組むときにも、類似の案件をたどり人・お金・制作データを参考にすることで生産性高く仕事をすることができます。今後は、クライアントとのミーティングメモから参考となる過去事例を推測して提案してくれるような、AIを活用したシステムの構築まで広げることができればと考えています。

オフィスにも、ノイズと美意識を

―働き方の変化とともに、オフィスも変化していますか。

樫山:アフターコロナの働き方を模索するなかで、2020年にオフィス面積を4分の1減らしました。そこから少しずつ、新しい働き方に対応したオフィスづくりを行っています。

天王洲オフィス1Fには来客用会議室が並んでおり、会議室予約システムにより管理することで効率的に運用している。
天王洲オフィス2Fエレベーターホール 社内の至る所にアート作品が展示され、行き交う人々の感性を刺激している。
オフィスはフリーアドレス。個々の働き方に合わせて必要な環境・スペースでの業務を可能にしている。

以前は、オフィスといえば当たり前のように通う場所でしたが、これからのオフィスは、足を運ぶことでワクワクしたり、リアルの価値が感じられたりという、何かが生まれる場所にするべきだと考えています。

―御社ならではのこだわりがあればお聞かせください。

樫山:オフィスづくりにおいても、ノイズと美意識を重視しています。その際、ノイズというのは「人」にあたり、当社では竣工写真を撮るときにも、綺麗なオフィスの写真ではなく、そこに人を入れています。つまりノイズが入ることにより、本来の姿が生き生きと描写されると考えているのです。

社内には小規模なイベントも開催できるスペースも完備。トークイベントや展示会などさまざまなニーズに対応している。
オフィスのエントランスに設置された無人受付システム
オフィス入口のセキュリティカードリーダーにもビジュアルコミュニケーションが徹底されている。
壁をつくる際にレンガを不規則に並べたり、コンクリートをわざと荒々しく仕上げ、ノイズ感を演出している。

また音へのこだわりも特徴的かもしれません。会議室にはオンライン会議が簡単に行えるオールインワンの設備を導入していますが、さらに声がより臨場感をもって伝わるようBOSEのマイクスピーカーを採用しています。

―本社のある天王洲は「アートと水辺の街」として知られ、周辺環境もいいですね。

樫山:天王洲はかつて倉庫街でしたが、寺田倉庫株式会社様が中心となり、アートの街にしようという街の活性化への取り組みが始まりました。一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会が発足し、当社もそこに加入して、街をあげたアートイベントの際には近隣の橋梁やフェンスにアート写真を提供して展示するなど、一緒に盛り上げています。

〈TENNOZ ART FESTIVAL 2021〉市田小百合「Mayu」/ふれあい橋

また、当社がある建物を建築したときに、玄関前にさまざまな植栽を施したことがきっかけとなり、寺田倉庫さんが天王洲一帯に植物を植えられました。倉庫をリノベーションした建物が並ぶエリアを、それと対をなすようなグリーンが彩っていて、天王洲の魅力がさらに高まったと感じています。

ビジネスの幅を広げ、個人のキャリアを広げる

アナログからデジタル、リアルからバーチャルといった転換にとどまらず、それぞれを行き来するようなコミュニケーションコンテンツの制作を行っているアマナ。今後、どのような人材を求めているのだろうか。

―最後に、どのような方と一緒に働きたいかお聞かせください。

石亀:社員にとってアマナは「自己実現を果たす場」だと考えています。当社はメタバースもそうですが、先行的に最新のテクノロジーを取り入れて、新たなサービスの開発に取り組んでいます。ビジネスが多様に広がっていますので、新しいことにチャレンジしたい方、自分の領域を広げてステップアップしたい方にぜひ当社に加わっていただきたいですね。

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取材のウラ側

最先端のクリエイティブをつくり出す現場でありながら、オフィスに流れる空気はいい意味で緩やか。そのベースにお互いへの信頼感があることがお話をうかがってわかった。また、社内のインナーコミュニケーションに力を入れ、独自のプラットフォームを開発し、その販売まで至っていることも印象的だった。ITで業務の効率化を図るのみならず、コミュニケーションの醸成も実現しており、働き方についても時代の半歩先をいく会社といえる。