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「未来を自分で選択できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、オンラインアウトソーシング事業を中心としたビジネスを展開する株式会社ニット。業務委託のメンバーを含めて約400名が在籍する同社では、オンライン上で顧客企業の業務を支援するサービス「HELP YOU」をはじめ、管理・運営業務のほぼ全てをリモートで行っている。そんなテレワークの“最先端”を行くとも言える同社では、どのような働き方を推進しているのだろうか。 今回は、代表取締役である秋沢崇夫さんと広報の小澤美佳さんに、ニットの特徴的な働き方やフルリモート体制での組織づくりについてお話をうかがった。
目次
場所に縛られない働き方
日本国内に限らず、世界各地でメンバーが活躍しているというニット。全員が離れた場所にいる環境で、業務は滞りなく進めることができるのだろうか。
——メンバー全員がテレワークをされていると聞いて驚きました。時差は問題になりませんか?
秋沢崇夫さん(以下、秋沢さん) そうですね。メンバーが住んでいる場所は様々で、日本各地はもちろん、海外のメンバーが住む国の数は33カ国に及びます。
東南アジアですとそれほど時差はありませんし、欧州だと一緒に働ける時間帯があります。ただ、アメリカは日本と真逆なので、テキストでのコミュニケーションが基本ですね。それだけで足りない場合は、朝早くもしくは遅い時間にミーティングするなどしてすり合わせています。
——人事や営業など、一般的にテレワークが難しいとされる業務もあるかと思います。
秋沢さん 採用や人事に関わる部署ですと、会社の近くに住んで頻繁にオフィスへ通うスタイルが多いですよね。けれど、弊社の採用・人事のメンバーはエルサレム在住なんです。家族の都合で世界各地を点々とする生活を送っていて、最初に出会ったときはスーダンに住んでいました。そこからスウェーデンに行って、今はエルサレムですが、業務に支障はありません。
営業ですと、「アドレスホッパー」と言って、家を持たずにいろんな地域に滞在しながら仕事をしているメンバーもいます。コロナ禍で今は海外に行けていませんが、以前は香港や台湾、そして日本全国を縦断するように移動していたこともありました。営業も全てリモートで行っていますので、そうした働き方ができるんです。
——皆さん、場所に縛られない働き方を実現されているんですね。
秋沢さん ほかにも、海外の孤児院の子どもたちに広い世界を見せてあげたいという気持ちで支援を続けながら働いているメンバーもいて、コートジボワールで仕事を続けながら、ボランティア活動に取り組んでいます。国内のメンバーは6割が地方在住で、地方に住みながらそれぞれが自分らしい働き方を追究しています。
「自分がしたい働き方」と「会社のビジョン」が重なることが大切
「自分がしたい働き方」と「会社のビジョン」が重なることが大切
営業や人事、採用に関わるメンバーも含め、テレワーク中心で業務を進める会社を立ち上げた秋沢氏。起業に際しての想い、そして大切にしていることについてうかがった。
——このようなユニークな会社を創業した想いについてお聞かせください。
秋沢さん 私が20代の頃は、朝から晩まで働き詰めの生活でした。その後、退職して起業する前に“人生の夏休み”をとったんですね。海外に長期間滞在してみたい、その土地のことを知りたいと思って、2カ月間、東南アジアやアメリカを放浪しました。
その中で、これまでずっとしたいことができない毎日だったけれど、それを可能にするライフスタイルがあるんじゃないかと思うようになりました。7年くらい前ですと、一部のテック系企業がテレワークを導入していたくらいで、出社が当たり前だったんです。けれど、テレワークを続けながら自分の行きたい所に行けるほうが人生は豊かになる、それを体験できる場所をつくりたい、そんな想いでニットを立ち上げました。
弊社には出社義務はありませんし、働く時間も場所も自分次第。ただ、「自分の実現したい働き方」と「会社のビジョン」が重なることが重要だと思っています。その2つの円が重なる部分が大きければ大きいほど、生活は豊かになりますよね。
——テレワークだと仕事の評価がしにくいという話も聞きます。
秋沢さん 弊社では半年に1回、本人と上司で個人面談を行っています。その中で、本人に期待する役割、そしてどういう評価をするか、この2つをすり合わせてお互いに同意した上で業務を進めるようにしています。
どうやって仕事を進めるかは、基本的に本人任せ。ただ、月1で1on1ミーティングの時間を設けて、どうすれば達成できるかを一緒に考え、支援しています。基本的には会社に貢献する気持ちを持っていると思っていますが、人間なので怠けたい気持ちもあるでしょうし、両方の気持ちがあることを前提に達成支援を行っています。
——個を重視する時代になると、個人の力がますます求められるようになりますね。
秋沢さん そうですね。自分で生きていく力と言いますか、自分の器の限界を超えるような「胆力」がないとできない部分もあるでしょうね。細かいルールを設定しない分、自主的に判断しなければいけませんし、つまりそれは結果を出しつづけることを意味します。義務と権利はセットなので。
本当に望む働き方を実現するためには、自分に負荷をかけて成長する期間が必要ですし、達成支援の中でそのことも伝えていきたいと思っています。
オフィスは「仕事をする場所」というより「コミュニケーションをする場所」
メンバー全員がテレワークを実施しているにもかかわらず、ニットは東京にオフィスを構えている。そこには一体どんな狙いがあるのだろうか。
——テレワーク中心の勤務形態で、あえてオフィスを構える理由をお聞かせください。
秋沢さん オフィスがなくても仕事ができる仕組みを整えていましたし、スタートからしばらくはコワーキングスペースを利用していました。ただ、メンバーが増えてくると、コミュニケーションをとる場所が必要だなと感じるようになったんです。
ですので、ニットのオフィスは「仕事をする場所」というより、「コミュニケーションをする場所」として設置しています。対面で話したいときはオフィスに来て、作業に集中したいときは在宅でというように、自分のパフォーマンスを発揮できる場所を自分で選んでもらっています。
——確かに、リラックスできるスペースが多い印象です。
秋沢さん 眠気で集中できないなら昼寝をしてもいいですし、オフィスでくつろげることを大切にしています。オフィスのプロの提案をベースに設計されていますが、自分たちのオフィスであることを実感してもらうため、DIYで社員が棚をつくったりもしているんです。仕事をして、少し眠くなったら昼寝して、また仕事に戻る。そんなリラックスできる空間を目指しました。
——オフィス以外に用意されているワークスペースはありますか?
秋沢さん サテライトオフィスはないのですが、ワーケーションは積極的に行っています。沖縄や長野にも行きましたし、アドレスホッパーのメンバーはそれぞれの地域でワーケーションを実施しています。
また、地方の雇用創出を目的に、地元の起業とコラボすることもありますし、これから働きたい人を対象に自治体を通して研修やスクールも実施しています。地方で働いて、地元で買い物をして、地域に還元する。これからは働く場所がますます多様化していくでしょうし、そうなるとそうした好循環も生まれやすいのではないかなと思っています。
会わなくてもつながっている。ニットで築く新たな関係性
テレワークだと便利な反面、コミュニケーションが希薄になりやすいケースもある。ニットでは、そうした懸念点もポジティブに捉え、オンラインだからこそできる取り組みを積極的に進めている。
——コミュニケーションに関して、意識して取り組んでいることはありますか?
秋沢さん 在宅で仕事をしていると、孤独を感じやすいですよね。「自分は本当に必要とされているのだろうか」といった負の感情が湧き上がることもあると思います。効率化に走りすぎると、タスクや業務連絡に終始してしまい、ますます孤独感が増長されてしまいます。ですので、弊社では業務外のコミュニケーションを重視しています。
小澤美佳さん(以下、小澤さん) その一つが、「オンラインコミュニティ」です。運営は社員ではなく、業務委託のメンバーが行っています。業務に関するものですと、「SNS運用情報共有部屋」はすごく盛り上がっていますし、Powerpointがテーマの「SPU(Special Powerpoint Unit)」は内容が素晴らしくて、商品化したくらいです。
業務外では、「占い好きの館」というのがあって、本当の占い師も所属しています(笑)「キャンプ会」には秋沢も参加していますし、「国際結婚組」のコミュニティではビザの話や、カツオだしがとれなくて困っているといった身近な話で盛り上がっています。特に海外のメンバーは、このコミュニティがあって本当によかったと言っていますね。
——コミュニティでの交流があると、一緒に仕事をすることになったときもスムーズに進みそうですね。
秋沢さん そうなんです。趣味の話などを通して交流があれば、親近感がわきますよね。
個を重視する時代になって副業やフリーランスが増えると、なぜここに所属しているのか、その答えを導きにくくなるかと思うんですね。だからこそ、会社としてはそこに所属するための仕掛けを用意することが大切で。業務で成長するためとかではなく、キャンプの話をしたいからここにいる、それもいいんじゃないでしょうか。
コミュニティのほか、4月には「オンライン入社式」を実施しました。ニットでどんなことをしたいか、どんな不安があるかをシェアすることで、「一人じゃない」と感じられるかなと。そこを重視したほうが、結果的にパフォーマンスが向上すると思っています。
入社式では、サプライズで家族や上司からの激励メッセージを伝える時間があって、それを見てがんばろうって思ってもらえたらいいなと。オンラインだからこそ、そのあたりは力を入れて行っています。
——自分自身で選んでここにいる。そのことを改めて確信できそうですね。
秋沢さん 弊社のビジョンは、「未来を自分で選択できる社会をつくる」です。選択の一つひとつは、やっぱり大変なんですよね。何かを選ぶことも、何かを選ばないことにも、責任が伴います。
これまでもメンバーには自主的に選択する大切さを伝えてきましたし、その風土をさらに根付かせていきたいと思っています。それができる環境を会社として整えながら、社会にもポジティブな影響を与えていきたいですね。
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取材のウラ側
テレワークを活用して理想の生き方と仕事を両立させ、より豊かな人生を送る——。それを実現させるための具体的な取り組みについてうかがう中で、ニットの働き方は今後、新たなスタンダードになり得ると強く感じた。ネット環境があれば自分の好きな場所で働けるというオンラインの良さ、そして、気軽なコミュニケーションを可能にして人とのつながりを深められるオフラインの良さ。それぞれが絶妙にブレンドされているニットの働き方は、オンライン化が進む現代において「最適解の一つ」と言えるのではないだろうか。
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