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Sansan株式会社
Sansan株式会社は、「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに、法人向けのデータ管理・業務効率化を支援し、AIやクラウド技術を活用したソリューションを提供しています。
Official Site営業DXサービス「Sansan」「Eight」に代表されるサービスを提供するSansan株式会社は、近年ビジネスの急拡大を遂げているIT企業だ。それに伴い人員も増加。これまで構えていた表参道の本社オフィスが手狭になり、2024年、渋谷区桜丘町に新たに誕生した大規模複合施設「サクラステージ」への移転を決めた。そのプロジェクトの全容を、同社コーポレート本部 オフィス戦略部の加賀谷洋輔さんに聞いた。
目次

――「オフィス戦略部」とはあまり聞き慣れないネーミングですが、一体どのような部署なのでしょうか?
加賀谷:「暑い」「寒い」といった空調関連の調整や設備予約など、社員の日頃の困りごと対応から、オフィスの増床、さらにはこのたびの本社移転まで、オフィス全般にかかわるさまざまな業務にあたる部署です。現在は5人のスタッフが在籍しています。
オフィス戦略部が発足したのは5年ほど前です。当社は2021年から「オフィス・セントリック」を掲げ、オフィスに出社して働くことを大切にしています。通常だと総務部の中に盛り込まれるような業務かと思いますが、そこから切り出して、経営戦略としてオフィスやファシリティを捉えていこうとしています。

――オフィス・セントリックの意図や狙いは何ですか?
加賀谷:当社のミッションは「出会いからイノベーションを生み出す」というものでして、お客さまだけでなく、社員同士の出会いも大切にしています。そのため、できるだけオフィスへ出社し、対面でコミュニケーションを取ることをとても大切にしています。
出会いを促進するために、さまざまな人事施策を打ち出しています。例えば、「ヨリアイ」という社内交流制度は、一日に一人3本までアルコール類などを無料で提供し、コミュニケーション強化の一環として定時後に社内で飲み会ができるようなものになっています。
●急増する人員に対応できるオフィス環境を
――2024年9月、「渋谷サクラステージ」へと本社オフィスを移転しました。背景や経緯を教えてく ださい。
加賀谷:目的は大きく2つありまして、一つは人員増に対応できるオフィススペースの確保です。 近年、「Bill One」というインボイス管理サービスが新たに立ち上がるなどして、社員がここ3年で700人ほど増えました。以前のオフィスではもはや手狭になっていたため、その700人に適切な執務環境を提供できるよう、オフィスを拡張したいという思いがありました。
もう一つはオフィスの集約化です。これまでは本社を含めて表参道周辺に最大4拠点のオフィスが点在していました。それらを1カ所にまとめたほうが部門間の連携などもとりやすく、効率的であると考えました。

2023年6月に本社移転を決定し、同年8月に移転プロジェクトが正式に発足しました。プロジェクトメンバーは、オフィス戦略部を中心に、人事部、総務法務部、コーポレートシステム部、コーポレートブランディング部、マーケティング部などの約30人です。
新オフィス構築において最も重視したのは、先ほどお話ししたように、今後の採用増加に対応できる規模の確保です。また、渋谷・桜丘に決めた理由として、さまざまな文化や出会いが生まれる場所だということが、当社のミッションとの親和性が高いと考えたからです。物件の調査自体はかなり前から実施しており、都内でさまざまな候補地を検討しましたが、賃料などの経済的な条件も含め、総合的に判断して決めました。
本社移転に際して、これまでに挙がっていた要望、例えば、商談スペースの不足や、気軽なミーティングスペースの必要性などは、新オフィスの設計に反映させました。
●こだわりが強すぎる故の苦労も……
――移転プロジェクトで特に苦労した点はどこですか?
加賀谷:最も大きな課題は、1年という限られたスケジュールでした。移転は2024年8月末、9月末、10月末の3フェーズで段階的に実施することが決まっていて、それに合わせて計画を立ててはいましたが、当然、想定通りにはいきません。
内階段の設置に加え、乗り換えフロアにあるスカイロビーから当社区画への動線を最適化するため、ビルの共有部と専有部の間にあった壁を開口し、新たな通路を設けるなど、大規模な工事を実施しました。また、当社はオフィスデザインを企業ブランディングの一環として強いこだわりがあり、特に「Park」と呼ばれるオープンエリアの空間設計には長期間の議論を重ねました。最後まで妥協せず、関係者全員が納得するまで検討を重ねた結果、施工に関わる皆さまには多大なご協力をいただいたおかげで、満足度の高い空間を実現できたと自負しています。



――そのほかにどういったハードルがありましたか?
加賀谷:これもスケジュールに関連しますが、旧オフィスの契約終了に伴い、当初の計画では 2024年4月から原状回復工事を開始する必要がありました。新オフィスへの移転は早くても8月末ですので、それまでの期間をどうするのかという問題がありました。
これに対して、居抜き入居を希望する企業を誘致し、原状回復工事が必要なフロアの削減を図るとともに、工事自体も段階的に進めながら、空きスペースに人や什器を移動させたりしていました。まさにパズルを組み合わせていくような難しさがありましたね。
●偶発的な出会いを生み出すParkや内階段
――新オフィスの特徴やユニークさを教えてください。
加賀谷:新しいオフィスのコンセプトは「Nature」で、植物の豊かさから活力を受け取り、本質的な行動を生み出すような場所を目指しました。中でも28階のParkは、空間の抜け感を保ちながら適度な緑を感じられるよう工夫し、什器と床材は斜め45度方向に配置することで自然と視線が誘導されるデザインになっています。


また、約12メートル幅のLEDビジョンを設置し、自然をテーマにした映像を流すなど、デジタル面でもオフィスコンセプトである「Nature」を表現しています。


もう一つの大きな特徴が内階段です。29階から32階が主に執務エリアなのですが、内階段によってフロア間の行き来が容易になっただけでなく、偶発的な出会いを生む仕掛けとしても機能しています。28階が地上とつながるエレベーターの乗り換えフロアとなっているため、多くの社員が内階段を必ずと言っていいほど利用します。その結果、普段は接点のない部署の社員同士が偶発的に出会い、自然と交流する機会が増えました。私も先日、同期入社の社員と久々に内階段で会いましたよ。

――オフィス移転によって具体的にどのような成果が見られますか?
加賀谷:前述した社内制度の「ヨリアイ」の利用頻度が大幅に増加しました。 現在は出社・退社時にParkを必ず通る設計になっているため、例えば、帰宅前に同僚たちと軽く一杯飲むなど、気軽にコミュニケーションが取れる機会が増えました。お酒をストックする冷蔵庫の容量は従来の約4倍に増強しましたが、それでも需要に追いつかないほどヨリアイの利用率が高まっています。
執務エリアについては、ファミレス席を多く設けて、社内のちょっとした打ち合わせなどをしやすくしました。しかも窓側にあるため景色がいいのです。加えて、窓側には昇降デスクも設置しており、作業に集中したい時にはそこへ行って仕事をする人も多いです。


あとは会議室も増えましたし、アルファベット順に配置したことで好評を得ています。



さらに、1フロアが約300坪から約800坪に拡大したことで、同じフロアで働く人数が増え、部署間のコミュニケーションも活性化しています。例えば、営業部門とエンジニア部門は以前のオフィスではさほど交流が見受けられなかったので、そこはすごく良かったなと実感しています。
――桜丘という立地への評価はいかがですか?
加賀谷:渋谷サクラステージはJR渋谷駅に直結しているため、雨天時も快適に通勤できることから、社員の評判はとても良いです。また、渋谷サクラステージの開業に合わせて「渋谷阿波おどり powered by Sansan」を企画するなど、地域と連携したイベントを実施しました。(デベロッパーの)東急不動産さんからも協力的な姿勢をとっていただいており、街との関わりが深まったのは嬉しいですね。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。
加賀谷:Parkのさらなる活用を検討しています。当初想定していなかったイベント利用の要望が多く寄せられているため、利用ルールの整備や空間の改良を進めています。より多くの社員が使いやすい場所となるよう、現在の利用状況を踏まえた改善を継続的に取り組んでいきたいですね。
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取材のウラ側
在宅ワーク・リモートワーク以外の選択肢がほぼなかったコロナ禍。その揺り戻しなのか、最近で はオフィスへの出社を再び前提にする企業が増えてきた中で、Sansanは早くも2021年に「オフィ ス・セントリック」を打ち出し、皆が一緒に職場で働くことを求めました。そうした確固たる経営理念
が、新本社オフィスをより良いものに仕上げたのではないでしょうか。これからのさらなる進化に 期待が集まります。
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