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株式会社リクルート
株式会社リクルートは、人材・住宅・美容・旅行・飲食などの分野で、マッチングプラットフォームや、企業などの業務運営の効率化を支援するSaaSソリューションを提供しています。
Official Site人材を資本としてとらえ、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」が注目を集めている。そうした中で従業員の能力を存分に発揮できるワークプレイスづくりに取り組んでいるのがリクルートだ。同社ワークプレイス統括室 ワークプレイス統括部 ファシリティ・HRグループ グループマネージャーの西田華乃さんにその詳細を伺った。
目次
価値の源泉は「人」
——昨今、「人的資本経営」の重要性を多くの企業が叫び始めています。この人的資本経営について、リクルートではどのように考えていますか。
西田:当社に関して言えば、人的資本経営は最近出てきた話ではありません。創業して六十数年ずっと、価値の源泉は「人」だととらえて、働く一人ひとりの「個」を尊重する経営を続けてきました。
2021年4月に、国内の事業会社を経営統合した際に、改めてリクルートの人材マネジメントポリシーを定義し、従業員一人ひとりに期待することとして、「自律」「チーム」「進化」と具体化しました。元々、多くの人たちと一緒に働くことは当たり前に行われていましたが、さまざまな強みを持った個人がチームを組むことで、集合知の力で課題を乗り越え、個人では実現できないような大きな価値を社会に提供し続けようというメッセージを改めて打ち出しました。
そんな多様な個人が社内外の枠を超えて縦横無尽に出会い、協働・協創を生み出す「CO-EN(公園、Co-Encounter)」のような場に、会社を進化させていくことを目指しています。
——「人」に対しての考え方が理解できました。多様な個人やチームが価値を発揮できる「働く環境」についてはどのように考えていますか。
西田:当社では、個人とチームが多様な選択肢の中から自律的に最適なワークプレイスを選べることを重視しています。働く場所の選択肢としては、自社オフィスと自宅、サードプレイスがあるわけですが、自社オフィスは集まる為の場所、集まってリアルなコミュニケーションをするための場所と定義しました。
そして、集まる場所のオフィスにおいてはCO-ENのコンセプトを体現するようなワークプレイス作りをしています。
300人が集う社内DJイベントも
——こうしたコンセプトを体現するために、本社オフィスをリニューアルされたということですが、具体的な取り組み内容やオフィス概要などを教えてください。
西田:21年4月の経営統合に伴い、東京都心に分散していたオフィスを3拠点に集約しました。そのメインとなるのが本社であるグラントウキョウサウスタワーであり、より社内外の集まりを促進するフロアやエリアを「CO-EN」と名付け構築しました。それが22階と41階です。
22階の「リCO」は日常的には小規模な交流を中心としつつ、個人の利用もできるフロアになっています。すべてのスペースにおいて、社内外問わず利用可能です。あらかじめ従業員が入館証を発行することで、社外の方も入っていただけます。
フロアは大きく「セミナールーム」「ラウンジ」「パーゴラ」「ダイニング」「テンポラリー」「カフェ」という6つのスペースで構成されています。
セミナールームは、ガラス張りで解放感のある空間です。ラウンジは、セミナールームの横にあるので、イベント前の待ち時間をゆっくりと過ごしてもらったり、イベント後に登壇者と参加者の交流を楽しんでもらったりする場所です。
パーゴラの特徴は、予約して貸し切り利用することができる点です。ですので、お昼時はグループのランチ会だったり、夜は飲み会だったりが行われています。あとは部活動の一環で社員がゲームで楽しんでいることもありますね。
テンポラリーは、展示スペースとしての利用を想定しています。当社の事業もいろいろと広がっているため、社員に向けて新商品・サービスをアピールしたいというニーズが増えています。
社員食堂に相当するダイニングは、日中は午前11時半から午後1時半まで食事を提供し、夜は宴会の予約ができるようになっています。食事にはこだわっていまして、かまどで炊いたご飯や、毎朝出汁を取って提供するお味噌汁などを用意しています。
カフェは、コーヒーを飲みながら社員同士でちょっとしたコミュニケーションをとることができる場所となっています。ジェラートも人気です。また、17時半以降はBarとなり、お酒や食事の提供も行っています。
——41階にある「リCU」という場所はどういった場所でしょうか?
西田:41階の「リCU」は、日常は個人での利用が中心です。22階がワイワイ、ガヤガヤとにぎやかなイメージに対して、41階はワークしたり、リラックスしたりする目的でつくられています。
ただし、非日常使いでは、150坪ほどある空間全体を貸し切って、大規模なイベントが開催できます。結論で言うと、41階は平日の日中も夜もイベント貸し切りでほぼ埋まっています。常にどこかの組織が部会や懇親会を開いています。
変わり種で言うと、フリースタイルラップの社内部活動がラップを披露したり、先日はDJイベントが初めて行われたりしました。300人ほどの参加者が押し寄せるほど盛況でした。
あとはクリスマスライブですね。毎年恒例で、こちらも200人ぐらい参加します。リクルートの中でバンドを組んでいるメンバーがたくさんいて、出演の争奪戦が繰り広げられているのですよ。
——DJイベントにライブと、すごいですね。以前はこういったスペース自体はなかったのでしょうか?
西田: 元々、リCUの場所は社員食堂でした。お昼も夜も営業し、夜はお酒も提供していました。しかしながら最上階の一番奥のエリアにあることから導線が悪く、ランチも高層階の従業員の利用がメイン。夜も帰りにふらっと立ち寄るような利用を生み出すのに苦労しました。その為、この場所をわざわざ使いに来る人の気持ちに立ち、日常と非日常の利用シーンを考えて細かい設計をし、作ったのが今の形といえます。
利用実績に関して、41階は予約率が約90パーセント。キックオフや研修、懇親会など社員が集まるイベントとして活用されています。利用後アンケートでも満足度が高く、活用されていて嬉しいです。
——オフィスリニューアルに関してよく耳にするのは、新しい場所をつくったけれどあまり社員に使ってもらえないという声です。CO-ENフロアを活用してもらうための工夫はありますか?
西田:おっしゃる通りで、場をつくっただけでは人は集まらないと思っています。もちろん、リクルートという会社の社員は集まってワイワイすることが好きな人が比較的多いという前提はあります。とはいえ、使い方の事例を示すことはとても大事。オープンした後は、積極的に私たちがイベントを行って、どういう風に使ってもらえる場所なのかを皆さんに体験してもらう機会を設けました。
また、22階はEVの乗り換えフロアとなっており、出社時と帰宅時に必ず立ち寄るフロアです。オープンな空間にしてあることから、どのように使われているかがほかの従業員に見えることによって、使い方のイメージを伝播することができていると感じています。
また、41階は少し奥まったところにあるので、オープンした当初はそもそも存在を知らない人が大勢いました。社内のイントラネットやメールなどで広報しても、ほとんどがリモートワークなので、やはりピンとこない。そこで出社している人に実際使ってもらって、口コミで広めてもらうような取り組みをしました。そこから徐々に浸透していった具合ですね。
もちろん、使っていただいた方にはアンケートを取り、使いづらかった点や要望などを集め、PDCAを回して改善していくこともかなりやっていました。
目先の利益にとらわれない
——本社オフィスをリニューアルする上でどのような苦労がありましたか?
西田:22年から23年にかけて、オフィスを稼働させながらレイアウト変更をしました。とにかくそれが大変でした。6つのフェーズに分けて工事を進めていき、CO-ENフロアが完成したのが23年7月です。
オフィスを集まる場所と定義した時に、「集まりたい時に魅力的な場所」「集まるという体験が最良化される場所」を作りたいと考えました。その時に注目したのは「食の可能性」です。仲間との良質な飲食体験は良質なコミュニケーションと関係性を創り出すと仮説を置き、そのためにどういった食堂を構築する必要があるのか、パートナー企業各社様と協働し、コンセプトを作りその実現に向けて濃い時間を過ごしました。
パートナー各社様にとっても初めての取り組みであった為、まずは想いに共感いただくことが大事だったと感じています。
——パートナーへのコンセプト浸透や理解を進める上で特に工夫されたことは?
西田: 繰り返しになりますが、我々の想いに共感していただくこと、そして目指す目的地を一緒に議論し、一緒に決めることが大切だと思っています。かつ、このプロジェクトが、中長期的にもパートナー企業様にとって成功事例となり、次の新しいビジネスの広がりとしていただけたらとも考えていました。
今回の例ですと、パートナー企業様が弊社の食堂にお客様をよくご案内されています。そのような様子は我々としてもとても嬉しいです。
難しいプロジェクトであっても、達成した先の喜びだったり、自分たちの次につながる経験の価値だったりに共感いただけることが成功のポイントと言えるかもしれません。
コロナ禍でも開設を推進した九段下オフィス
——21年には九段下にも新しいオフィスを開設しました。こちらのプロジェクトで苦労したところは?
西田:何よりもコロナ禍真っ只中での企画だったので……。2019年の年末にこの九段下のビルと出会い、年が明けて2020年1月に新オフィスの開設を決定。すると4月には緊急事態宣言が発出されました。ただし、20年度に完遂するべきプロジェクトでしたから、何とかして21年3月末のオープンに漕ぎ着けました。
本当に先が見えない中で、物事を進めていくことが難しかったですね。世の中の経営者が皆、オフィスの必要性を議論している時に、私たちは「オフィスは人が集まるための場所」になると定義しているわけですから。
工夫したことは、目の前の課題解決を目的にオフィスをつくることはやめようと潔く決めたことでしょうか。バックキャスティングで当社の未来を仮定して、その未来をオフィスで体現するならどのようなものだろうと、割り切って考えたことが良かったかなと思います。
あとは、築60年以上の物件をリノベーションするという工事も初めての経験でした。リノベーション前は雨漏りがしていたこともありました。古い建物ですから、短納期でリノベーションするということの難易度は高かったです。
一般的には、オフィスづくりは目の前にある課題の解消という目的があり、従業員の皆さんからヒアリングやアンケートで、オフィスにほしい要素などを吸い上げています。実際、私たちもそうしたオフィス構築を過去に何度もやっています。でも、今回は経営者や従業員にとっても未来が不確実であると感じた為、その手法はとらず、社外有識者の声を集め、オフィスとは直接関係のない事柄などにも情報収集の幅を広げ、未来の働き方・オフィスはこうなるはず、といったん仮置きして、オフィスをつくっていきました。
結果、この九段下オフィスの取り組みは、21年の経営統合後に定めたワークプレイス方針や本社オフィス構築の先行事例となりました。いろいろなチャレンジをしたからこそ、ここで得た知見がその後の他のオフィスづくりにも生かされています。
——最後に、本社オフィスで気に入っている場所を教えてください。
西田:22階のカフェですね。私は朝8時ぐらいに出社していることが多いので、まずは黙々と作業して、8時45分のカフェオープン時にコーヒーを買います。そのままそこにいることもありますし、9時ぐらいになると他のメンバーが出社してくるので、コーヒーを持って社員が集まるフロアへ行き、「おはよう!」と挨拶するのが一日の始まりになっています。
——ありがとうございました。
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取材のウラ側
昔からリクルート出身の起業家が多いことからも、「リクルート=個の力が強い人たちの集合体」というイメージを持っていました。一方で、個性が強すぎるあまり、個人主義に走ってしまう社員も多いのではないかという印象もありました。しかしながら、今回の取材において、「チーム」という言葉と、それをより強固にするために人々が集まる場所(オフィス)が重要であるという話を伺えたことは、認識の大きな変化となりました。今後ますますオープン化が進み、社内外の人材交流の場として活気付くであろうリクルートのオフィスに注目です。
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