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その道のプロによる総合情報サイト「All About(オールアバウト)」の運営など、人を軸にしたビジネスを中心に展開している株式会社オールアバウト。人間ならではの創造性をベースにした事業に取り組む中で、一人ひとりの社員の自立を重んじているという同社の働き方とは。経営管理部 人事総務グループ マネジャーの竹之下葉月さんに、同社のカルチャーや働き方についてお話をうかがった。
目次
「人」を軸にしたビジネスを展開
株式会社オールアバウトが運営する総合情報サイト「All About」。同サイトは「ガイド」と呼ばれる専門家が実名・顔出しで発信する、信頼性の高い情報を強みとしている。人を軸にしたビジネスを展開する、同社が大切にしているものとは。
ーー御社の事業内容についてお聞かせください。
一つは、創業時からある総合情報サイト「All About」です。「ガイド」と呼ばれる約900名の専門家が、それぞれの得意分野について、実名・顔出しで情報発信しているのが特徴です。
昨年、おかげさまで20周年を迎えました。専門家の知識に基づいた信頼性が高い情報、1300に及ぶ網羅性のあるテーマなどがユーザーの皆さまに喜んでいただけているポイントかなと思います。Webメディア業界の中では、かなり老舗にあたるかと思っています。
このほか、リーマンショック以降は多角化経営も進めており、株式会社オールアバウトライフマーケティングなどのグループ企業がいくつかあります。しかし基本的には、このAll Aboutというサイトに代表されるように、「人を軸にしたビジネスを中心にしている会社」と思っていただければ良いかなと考えています。
ーー社員の皆さんはどのような方々が多いですか?
私たちは、自立を大切にしています。本質的に考えて、主体的に行動することを意識している社員がとても多いですね。また、事業を通じて社会貢献していきたいという考え方や、世の中の負の解消に寄与する事業を展開していることに共感して入社する社員も多いんです。そのためか、弊社の社員は誠実でコンプライアンス意識が高いところがあると思っています。
20年間変わらぬ信頼性
ーー「システムではなく、人間。」という、御社のミッションについて教えてください。
個人にフォーカスし、人間ならではの創造性をベースに、新しいマーケットを生み出していく。そういった意味を込めて、「システムではなく、人間。」というミッションを大切にしています。
この20年の間に世の中は大きく変化していますが、私たちは当初から変わらず「信頼性」を大切に事業を展開してきました。Webメディアが世に出はじめた頃、ネットの情報はどこか信じられないといった風潮がありました。だからこそ、All Aboutの「実名・顔出し」のポリシーは、安心感や信頼性という形で評価されてきたのだろうと自負しています。
現在は個人でも発信がしやすい反面、情報過多な状態になっています。そんな中で、情報の信頼性が改めて評価されてきているのだと思います。だからこそ、「人間」が大切なんです。
ーー「人が軸」という点では、20年間ずっと続けているガイドさんもいらっしゃいますね。
ガイドの皆さんに対して、All Aboutがセルフブランディングや信頼性、影響力の強化をサポートしています。初期から在籍されているガイドさんたちには、その蓄積がたくさんあるんですね。だからこそ、ユーザーの信頼につながっているのかもしれません。メディアとライターとの関係ではないこのビジネスモデルが、ほかのメディアとは一線を画すところなのかなと考えています。
自由度の高い働き方を目指して
「個人を豊かに、社会を元気に。」は、オールアバウトがグループ全体で共有するビジョン。このビジョンに共感して入社する人がほとんどだという。自立を重んじるカルチャーを持つ同社の社員は、どのような働き方をしているのだろうか。
ーー働きやすい環境をつくるために、意識していることはありますか?
弊社はもともと、フレックスタイム制や裁量労働制を導入し、仕事をする時間帯や進め方を本人に任せてきました。これに加え、現在ではリモートワークのように働く場所の選択肢も増やしています。基本的には、会社が具体的に出社率などを指示するのではなく、各事業の状況に合わせ、リーダーの方針、本人の自主性を大切にしながら決めてもらっています。
ーー今後の働き方については、どのように考えていますか?
リモートワークとオフィスワークのハイブリッド化が進むと思います。サテライトオフィスの活用やワーケーションという働き方も、もしかしたら増えていくかもしれません。弊社では、コロナ禍前の2018年2月から、リモートワークを試験的に導入していました。そのため、昨年のコロナ禍で世間が緊迫する中でも、かなりスムーズに在宅勤務体制に移行できています。社員がもともとリモートワークを経験していたことは大きなアドバンテージでした。
ーー逆に、リモートワークの導入で大変だった部分はありますか?
やはり、コミュニケーションの問題ですね。リモートワークは時間の有効活用などのメリットがある一方、結果的に「やらなければいけないタスクを淡々とこなす」といった、個人主義に陥りやすい側面もあると思います。現在は改善されましたが、業務委託的な働き方になってしまうことにより、メンバー間での共有が不足して、間に落ちる仕事があったり、逆に複数の部署で似たようなことを重複して行ってしまったりするといったことが起こったりもしました。
また、新入社員のオンボーディングにも影響が出ました。コロナ禍よりも前から在籍している社員は社内のカルチャーを理解し人間関係も築けているので、リモートになっても変わりはないのですが、新入社員からすると、オンラインでのミーティングやテキストでのコミュニケーションのみでチームメンバーの人となりなどを理解するのは容易ではありません。そのため、業務のキャッチアップが難しく、スムーズにいかないこともありました。「オールアバウトで働く意義・意識が薄れるのでは」という危機感は、当初も今も強く持っています。
ーーコミュニケーションの問題をどのようにして解決していますか?
例えば、新入社員のオンボーディングに関し「人事」と「現場」の両者が、「入社前日まで」「当日」「入社後1週間」といった形で、段階ごとにやるべきことをリスト化し進捗をすり合わせながら進めています。
このリストは、単なる業務の引き継ぎ表ではありません。人間関係を構築するため、あるいは期待値を調整するために必要なことなど、オンボーディングで直面すると言われている壁ごとに受け入れ側がやるべきタスクを細分化したものです。これを、定期的に「人事」と「現場」で共有するようにしています。
さらに、1カ月ごとに人事が本人と面談を行い、現状をヒアリングします。それを踏まえて、現場の教育担当やマネジャーとその後の進め方を一緒に検討しています。
ーー入社前の個人面談では、どのようなことが話されますか?
面談ではキャリア観を含めた価値観についてお話ししますが、ここ最近は働き方に関しても聞くようにしています。これは極端な例ですが、例えば「週4でリモートがいい」と思っている方の配属先が「週5出社」の部署だと、完全にミスマッチですよね。これでは時間が経つほど、モヤモヤがたまってしまいます。これを防ぐために、働き方に対する考え方を聞き、事前にすり合わせておく必要があります。
チームとして成果を出すために、どういう働き方が一番良いのかを考えて選択してもらいたいと思っているんです。今は、各部署のリーダーの責任のもと、状況に合わせて出社・リモートを調整してくれています。
働き方に応じて、部屋を分ける
ーー多様化する働き方に対応するべく、2021年6月に新オフィスに移転されたばかりとお聞きしました。
新しいオフィスは、「仕事がはかどる、行きたくなる場所」を目指して設計しました。具体的には、コミュニケーションがさらに円滑にとれるように、様々な工夫を凝らしています。
この1年半~2年のコロナ禍で、コミュニケーションの大切さや難しさを痛感したことがきっかけです。
オンラインとオフライン、それぞれの強みや弱みもよくわかってきました。例えば、信頼関係を築き、モチベーションを高める1on1などのコミュニケーションに関しては、多くの人の場合、オンラインよりも実際に対面したほうが効果や実感があることがわかりました。一方、リモートワークは、個人で集中する業務にとても向いていると思います。
ーー新しいオフィスのこだわりは、どのようなところですか?
旧オフィスは、ワークスペースとコミュニケーションスペースが、7対3ぐらいの割合でしたが、今回のオフィス移転ではそれを逆転させました。大会議室だけではなく、用途によって細かく使い分けられるよう、小さめの部屋を複数種類、設けています。
例えば新オフィスには、電話ボックスほどのサイズとなる、1人用のオンラインミーティング用ブースが12室あります。オフィスに来ても、在宅勤務のメンバーや、お取引先様とオンラインでコミュニケーションを取ることが日常化しているため、取り入れました。
ほかにも、1 on 1ミーティング専用の2人用の部屋が6室。さらに、小会議室が4室、4人用の部屋が2室、ライトな相談用にオープンな形のテーブルも2つ設置しています。
また、オフィス入り口すぐの場所に設置したキッチンは、ちょっとしたシンボルです。IHコンロが4口、12人座れるカウンターもあり、コロナ禍が明けたら、社内外問わずカジュアルなコミュニケーションに活用してもらいたいと考えています。
オフィスでは、偶発的な出会いによって新しい事業のアイデアが生まれるようなこともあります。これからこのオフィスで化学反応がたくさん生まれることを願っています。
ーー新しい事業にはどのようなものがありますか?
ここ最近では、「PrimeAd(プライムアド)」というサービスですね。これは、弊社もこれまでずっとメディア側として痛感してきた、広告出稿におけるフローのロスを解決できるプラットフォームで、特に伸びている事業の一つです。
メディア側からすれば、広告出稿のフローに関して、ロスが多い部分がかなりあるんです。一方で広告代理店側も、膨大な案件をこなすためには、効率よく仕事を進めなければならない。
そこで、広告代理店がクライアント・商材や予算を提示し、メディア側が企画を提案する仕組みをつくりました。その場でマッチングをして進めていくため、ものすごいスピード感がありますし、コストも抑えられるようになりました。
働き方改革やコロナ禍でオンラインで効率的にビジネスを進めるニーズが高まっている今、非対面で進められるこのサービスは、非常に時代にマッチしていると思います。すでに大手代理店や有名メディアにも多数参画していただいており、これからさらに拡大していくサービスだと考えています。
ーー最後に、オールアバウトのこれからについて教えてください。
「不安なく、賢く、自分らしく」が、弊社が提供するサービスの根幹です。消費者の生活基盤を整えるサポートをこれからも続けていきます。例えば、多くの方が不安を感じているであろう、マネーや健康医療などの分野についてもさらに注力し、事業展開していきたいと思っています。
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取材のウラ側
リモートワークをいち早く導入し、働きやすさの創造に注力しているオールアバウト。パンデミック下でも即座に環境を整え、個人の実力を可能な限り引き出そうとする姿勢は、さすが人を中心にしたビジネスを展開する企業だと感じた。在宅勤務で生じるコミュニケーションの問題についてしっかりと向き合う点も、人を大切にする同社ならでは。皆が同じ方向を向き、同社で働く意義を大切にしているところが、とても魅力的だと感じた。
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