2025年には世界の労働人口の75%がミレニアル世代・ジェネレーションZ世代(以下、Z世代)になると言われており、年々彼らの社会全体における存在感は大きくなっている(2016年Manpower Groupによる国連人口データの分析より)。また、世界に比べると割合こそ低いが、日本でも2025年には、これらの世代が労働力の約50%を占めると言われている。

 

米国で広く用いられている世代別定義によると、ミレニアル世代は1981~94年までに生まれた人口層(2020年時点で26~39歳)、Z世代は1995年~2002年に生まれた層(2020年時点で18~25歳)となっている。

 

2020年の世代を表した人口ピラミッド
(画像:2020年 日本のZ世代を理解しよう/ビジネス・ブレークスルー大学専任教授 斉藤 徹

 

世界で共通して用いられる世代別分類だが、その特徴はグローバルで共通する点から、各国の社会的、文化的、経済的背景により形成されるその国特有のものもある。今回は日本のミレニアル世代・Z世代に注目し、「仕事・働き方」をテーマに彼らの価値観から見られる主要な特徴5つをみていく。

 

※ミレニアル世代とジェネレーションZ世代の特徴・違い

 

教養が高く、テクノロジーやソーシャルメディアに精通していることなど、ミレニアル世代とZ世代は共通の特徴を多く有すると言われている。しかし一方では、彼らの親世代の働きかたや育った社会背景から、価値観や嗜好に大きな違いも見られることも。

 

ミレニアル世代・Z世代の特徴の違い

参考資料
(1) 日本のZ世代を理解しよう/ビジネス・ブレークスルー大学専任教授 斉藤 徹 (2020年発表)
(2) デロイト ミレニアル年次調査 グローバル翻訳版 (2019年度版)
(3) JETRO ニューヨークだより(2018年10月発行)

 

ミレニアル世代とジェネレーションZ世代が持つ5つの仕事観

 

①キャリア観では、仕事とプライベートを切り分けない考え方を支持

 

ミレニアル世代・Z世代がもつ仕事観は、急速な時代の流れと相まって変化を遂げている。仕事とプライベートを切り分けて考え、双方のバランス調整を行う「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は頻繁に耳にしてきたかと思うが、ミレニアル世代・Z世代はその意識を発展させた働き方を支持している。

例えば、仕事と私生活を連動させ、双方の充実を求める「ワーク・ライフ・インテグレ―ション」というコンセプト。また、『WORKTECH LA・NYCレポート』の記事で紹介した「ワーク・ライフ・ジェンガ」は仕事とプライベートの時間をより隣り合わせで捉えるという考え方である。どちらも、仕事とプライベートに境界線を設けず柔軟に考えており、生き方をより統合的に見ている点で共通している。

 

②多様な働き方・副業に関心がある一方、不安定さに懸念を持つ

 

ミレニアル世代・ジェネレーションZ世代どちらも、スラッシュキャリア(職業を1つに限定せず、複数の仕事・活動を掛け持ちながら、多方面での活躍を目指す働き方のこと)やギグ・エコノミーに興味があり、抵抗が低い傾向がある。

 

2018年に株式会社ジャパンネット銀行が行った調査では、ミレニアル世代の60%がスラッシュキャリアに関心があり、70%が副業の経験・意向をもち、およそ4人に1人が実際に副業経験者という結果となった。また、2019年デロイトによるミレニアル年次調査では、ギグ・エコノミーの5人に4人はミレニアル世代とZ世代で構成されており、80%以上がギグ・エコノミーへの参加を意向しており、多様で柔軟な働き方への関心の高さが窺える。

 

しかしその一方で、ギグ・エコノミー故の収入の不安定さや将来への不確実性といった点に懸念を示しており、新しい世代間の中でも混在した意見が見られる・・・