見えない壁を壊すために

——2018年に本社オフィスを新宿区初台の東京オペラシティビルに移しました。経緯を教えていただけますか。

宮原:移転の一番の狙いは、コミュニケーションの活性化によって業務効率の向上につなげることでした。移転前は一つのビルの中でオフィスが6フロアに分かれていたため、どうしても本部間には自然と見えない壁のようなものができてしまっていたんです。

 

現在のオフィスはワンフロアで、一目で誰が何をしているか見渡せる空間になっています。加えて、最寄りの初台駅から直結というアクセスの良さは、社員にとっても採用面でも大きなメリットになっています。

人事・総務本部 総務部 副部長の宮原一弘さん

——具体的に採用でどのような効果が生まれているのでしょうか?

鎌田:HPではバーチャルオフィスツアーも公開していますが、実際に採用面接で来社された方からは、「こんなに素敵なオフィスで働きたいです」といった声をいただくことがあります。以前のオフィスではなかなかそうした感想をいただくことはありませんでした。

人事・総務本部 人事部 人事企画チーム 係長の鎌田香織さん

宮原:以前は自社ビルで、長年使い続けてきた昔ながらのオフィスという感じでしたから、雰囲気はガラッと変わったと思います。

 

井上:新卒採用で来社される学生からも「きれいなオフィスですね」などと好評です。また、会社受付のデザインもコンセプトを持って設計しているので、そうした話をすると興味深く聞いてくれます。

人事・総務本部 人事部 人事企画チーム 主任の井上佳沙音さん

——移転にあたって、コミュニケーションの活性化以外にどのような目的がありましたか。

宮原:当社は長い歴史を有する企業ですが、気がつけば安定志向の風土が根付いていました。 そこからの脱却も移転の目的の一つでした。新しいことに挑戦するという姿勢を、オフィスという空間から体現しようとしたのです。

 

具体的には、フリーアドレスを導入しました。ただし、単にフリーアドレスにしただけだと、結局いつも同じ人が同じ席に座ってしまいがちです。そこで「座席抽選システム」というものを取り入れ、毎回異なる組み合わせになるように設定しました。これにより、今まで接点がなかった部署の人が隣に座るといった、偶発的な出会いが日常的に生まれるようになったのです。例えば、商品開発部門のメンバーが隣の席に来ると、どんな新商品を開発しているかがぼんやり伝わってくる。それが「ちょっと話しかけてみようか」というきっかけになったりします。商品がどのように生まれ、製造、営業、バックオフィスを経てお客さまに届くのか、会社全体の動きが社員それぞれにとってより身近になった感覚があります。

 

また、フロア内には複数のゾーンを設けています。集中したい時は窓際のスタンディングスペースへ、集まって議論したい時はフロア中央のオープンコミュニティースペースへといった具合に、働くシーンに合わせて場所を使い分けられるようになっています。加えて、以前は十分ではなかったリフレッシュスペースも整備し、オンとオフをしっかり切り替えられる環境を用意しました。

エントランスで出迎えてくれる色とりどりの飴やグミが、気分をパッと明るくしてくれる
エントランス近くに設けられた、来訪者とのミーティングもスムーズに行えるオープンスペース

井上:移転のタイミングからだったと思いますが、それまではスーツ着用が基本だったところからビジネスカジュアルOKと、服装の自由度が高まりました。例えば、営業職の社員は商談時にはスーツで、それ以外の場面では普段着で、といった形で柔軟に対応しています。

 

宮原:最初のうちは、年齢層の高いメンバーを中心に「何を着れば良いかわからない」という声も上がりました。会社としてもビジネスカジュアルの着こなし講座を定期的に開催し、スムーズに移行できるよう支援しました。特にバックオフィスの社員はスーツを着る機会がかなり減っています。

 

鎌田:服装が自由になったことで、ファッションが会話のきっかけになることも増えました。例えば、似たような柄のシャツを着たメンバーが3人同時にいたりして(笑)。部署を超えたちょっとした雑談が生まれるようになりましたね。

大人気商品「ピュレグミ」をモチーフにした、ときめきが止まらない可愛らしいお部屋

オンラインミーティングの冒頭に“雑談”

——2024年のオフィスリニューアルでは、どのような部分に手を加えましたか。

宮原:ハイブリッドワークへの対応が主な目的でした。オフィス環境の満足度調査を実施
したところ、「Web会議に集中できるスペースが足りない」「会議室が足りない」という声が社内に多く上がっていたのです。そこでWebブースを4つ、会議室を3つ新設し、1〜2人規模の打ち合わせにも対応できるよう整備しました。

 

それと、以前からの変化として、オフィスリニューアルと直接は関係ないのですが、フリーアドレスを導入して数年が経ち、「チームでまとまって仕事をしたい」という声も聞かれるようになったことから、現在は一部エリアをグループアドレスとして試験的に運用しています。

照明がまるでカンロ飴のよう!遊び心あふれる、ぬくもりのあるミーティングスペース

——ハイブリッドワークの運用ルールはありますか?

宮原:「週に何日出社すること」といったトップダウンの規定は設けていません。部門ごとの判断に委ねつつ、社員一人一人が自分にとって最適な働き方を主体的に考えるというスタンスです。今日は集中して仕事をしたいから在宅で、今日はチームで議論したいからオフィスへ、といった自律的な選択が日常になっています。

 

鎌田:私自身は週2〜4日のペースで在宅ワークをしています。研修や採用面接などがある日は出社しますが、集中して書類仕事などをしたい日は在宅を選ぶことが多いです。

 

井上:私も週に3日程度は在宅ワークですね。在宅と出社のメリハリをつけて分けることで、自分の業務スケジュールも立てやすくなっています。出社日に急な打ち合わせが入ることもありますが、在宅日は集中して仕事を進められる。このバランスが個人的にはとても働きやすいと感じています。

プレミアムな世界観を表現した、打ち合わせスペースの「金のミルク」。ゴールドの美しい照明が、訪れる人の気分を高めてくれる

宮原:部門によっては、オンラインミーティングの冒頭5分を”雑談タイム”として設けているところもあります。出社日は積極的に他の社員と対話や情報交換をして、在宅日は一人で仕事に集中するというように、それぞれのシーンに意味を持たせて使い分けることが、当社のハイブリッドワークの特徴かもしれません。

 

コアタイムが1時間のフレックスタイム制も、社員からの評価が高いです。ライフステージに合わせた柔軟な時間管理ができるため、子育て中のメンバーはもちろん、さまざまな事情を抱える社員にとって働きやすい仕組みになっています。

開放的な執務エリアでは、日ごとに隣の席が変わる楽しさも。毎日新鮮な気持ちで、心地よく仕事に臨むことができる

品質への意識と商品愛が生む仕事のやり甲斐

——健康経営にも力を入れています。取り組みについてご紹介ください。

鎌田:社員が心身ともに安心して働ける環境を作るべく、残業の抑制と有給休暇取得の促進に特に力を入れています。残業時間が一定時間以上となった場合は産業医との面談を実施する仕組みや、連続有給取得の推奨なども行っています。直近の有給取得率は76.8%(2025年4月〜2026年3月)で、会社目標の70%を上回っています。上司が率先して休暇を取得することで、チーム全体で取りやすい雰囲気が醸成されていると感じています。

 

また、誕生月の前月、当月、翌月の3ヶ月間に取得できる「リフレッシュ休暇」や、勤続年数に応じた「メモリアル休暇」といった制度も整えています。

抜群の景色が広がるリフレッシュスペース。集中して仕事に励む人もいれば、ランチを楽しむ人も
窓の外に広がる素晴らしい景色。仕事の合間にふと目を向けるだけで、最高のリフレッシュに

——働き方に関しても教えてください。カンロならではの仕事の厳しさというものはありますか

宮原: 当社はお菓子メーカーですが、主力商品である飴やグミは、一粒一粒がとても小さな商品です。だからこそ、一粒に込める価値を大切にしています。その商品が多くの人たちをほっとさせたり、笑顔にさせたりする力があると実感しています。この笑顔の輪を広げていく、そうしたところに関われているのは非常にやり甲斐がありますね。

 

鎌田:カンロの商品は、人々の日常の中で、ふとした小さな幸せを届けられるものだと思っています。そんなカンロに興味を持ち、新卒・キャリアを問わず応募してくださる方々とお会いできることが、私のやり甲斐です。

 

個人的な話になりますが、井上さんは、私が新卒採用を担当していた時に入社した社員です。カンロで積み重ねてきた経験をもとに、会社のことを生き生きと話す姿を見ると、とても頼もしく感じます。採用に関わった方が活躍している姿を見ると、人事の仕事をしていて良かったと実感します。

 

井上:
家族や友人に「この商品、好きなんだよね」と言ってもらった時は嬉しくなります。私自身はものづくりに直接関わっていなくても、同じ会社の仲間が作った商品がお客さまに届いているという実感がメーカーで働く醍醐味ですし、やり甲斐につながっています。

男女別の休養室を完備。急な体調不良の際にも、安心して休める環境が整っている
フリーアドレス制だからこそ、個人ロッカーを一人ひとりに用意。日々の持ち物を安心して保管することが可能

——ちなみに、皆さんの好きな商品は?

鎌田:「カンデミーナグミ Wインパクト」です。ハードグミが好きなのですが、こちらの商品は定番の「カンデミーナグミ スーパーベスト」からさらに硬さが増して、もう虜になっています。

 

井上:私は「ピュレグミ」です。小学生の時の遠足で毎回持参したり、祖母の家でよく食べていたことを覚えています。もちろん今でも大好きで、特に定番のレモン味がお気に入りです。

 

宮原:私は「もりもり山のくだもの飴」を推したいです。8種類の味が楽しめる大容量の商品で、年配の方にも親しまれている飴です。地元に帰省した際、祖母が「これ、あんたの会社のお菓子よね。みんなに配るわ」と嬉しそうに話してくれたことがありました。その言葉は、今でも私にとって大切な思い出として心に残っています。

パッケージの裏側を見つめると、そこには心がほっこり温まるメッセージが。日常の小さな癒やしを届けてくれる

——本日はありがとうございました。

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取材のウラ側

今回の取材で最も印象的だったのは、会議室の一つひとつに「カンロ飴」や「ピュレグミ」といった自社の商品名がつけられ、そのコンセプトや色合いに合わせて部屋全体がデザインされている点です 。来社されたお取引先様との商談前にも「ここはカンロ飴をモチーフにした部屋なんです」と紹介することで、自然と和やかな雑談が生まれ、リラックスした雰囲気で本題に入れるという実利的な効果も生んでいました 。ただおしゃれな空間を作るだけでなく、自社のアイデンティティを散りばめることで社内外のコミュニケーションを円滑にする素晴らしいアイデアだと感じました。

編集部が推したい福利厚生や支援制度
インストラクター制度とキャリアプラン面談

入社後、新卒は6カ月間、キャリアは3カ月間、専任の教育担当となる先輩社員がマンツーマンで指導します。年に1回、上司と自身のキャリアについてじっくり相談できる面談の機会が設けられています 。

ダイバーシティ推進リーダー制度

各部門から選出されたリーダーが中心となり、多様な働き方や社内制度の周知を現場に落とし込みます 。 インフルエンサーとして社内報などを通じて発信を行い、部門を超えた良好な交流を促進しています 。 

リフレッシュ休暇とメモリアル休暇

入社1年目から取得可能で、誕生月の前月、当月、翌月の3ヶ月間に有給をあててリフレッシュできる制度です 。 これとは別に、勤続年数に応じ、特別有給休暇としてメモリアル休暇も用意されています 。