評価される企業の存在意義。そのとき個人は?

 

企業経営において、ここ数年で重要性を増している「パーパス(Purpose)」。「目的」や「意図」を意味する英単語だが、ビジネスにおいては企業や組織の「存在理由」、「存在意義」といった使われ方をする。「自分の会社はなぜ存在するのか?」という、まさに存在理由を打ち出すものであり、ミッションやビジョンの上位概念と位置付けることができる。

企業が持続可能な社会を目指すことに価値が見出される現代にあって、その企業ならではのパーパスを示すことは、社会にとって、またその企業で働く人にとっても重要と言える。

そして、パーパスは、企業経営だけでなく個人においても欠かせないものである。なぜなら、個人の存在意義を示すことは、社会に対する自らの立ち位置を示すことにつながるからだ。また、自分なりのパーパスを模索する中で、働き方に変化が生まれることもあるだろう。そこで今回は、企業におけるパーパス・ブランディングをもとに、個人のパーパスの見つけ方について考えてみたい。

 

世界的企業が掲げる「パーパス」から見えるもの

 

まずは、企業経営におけるパーパスについて掘り下げて見ていこう。

 

企業の真の存在意義を明確にし、実現していく「パーパス・マネジメント・コンサルティング」を手掛けるアイディール・リーダーズ株式会社(東京)というコンサルティング会社がある。注目したいのは、同社の役員の一つとして設けられている、「CHO」という聞き慣れない役職だ。

 

CHOとは「Chief Happiness Officer」のことで、直訳すると「幸せ担当役員」となるだろうか。役職名だけ聞くと掴みどころのない印象を与えるが、Googleをはじめ欧米では2010年頃からこの役職を取り入れる企業が出てきている。アイディール・リーダーズでは、『パーパス・マネジメント 社員の幸せを大切にする経営』の著書もある丹羽真里氏がCHOを担っている。

 

パーパスとは何かを考えるヒントとして、同社のウェブサイトにある「アイディール・リーダーズの考える『Purpose』とは?」より、以下に一部引用する。

 

“ Purpose(パーパス)とは、自分たちの存在意義のことです。「この組織は何のために存在しているか?」という問いに答える、シンプルな表現をPurposeと言います。Purposeがあることにより、組織においては一貫性のある戦略が描かれ、一体感が生まれます。また、Purposeに共感した社員が高いモチベーションでその能力と創造性を発揮することにより、大きな価値が生まれます ”

 

明確で手に取りやすいパーパスは、企業の進むべき道を示すだけでなく、社員にとってもモチベーションを高く持つ指針となるという。その結果として、顧客の共感や支持を得られる商品やサービスが生み出され、売上利益につながり、企業の持続的な繁栄がもたらされる。

 

また、パーパスには、「その組織の価値観」と「社会的な意義」という2つの視点が欠かせない。特に「社会的な意義」は、企業活動が社会にどのような影響を与え、世界が抱える課題をどのように解決できるかを示すものでもあり、重要度は高い・・・