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株式会社アイティフォー
金融機関や百貨店、地方自治体などに自社開発の業務用パッケージシステムを提供する独立系企業。近年ではパッケージシステムだけでなく、お客さまの課題を解決するためのさまざまなソリューションサービスを提供するサービス会社へと進化している。金融関連システムの強さに定評があり、地方銀行の80%以上に同社のシステムが導入されている。50年にわたり培った技術と人間力で、地域のDX推進に貢献している企業だ。
Official Site創業から50年にわたり、地域の企業と強い信頼関係を築きながら、各業界へ向けたITソリューションを提供してきた株式会社アイティフォー。創業記念日である2022年12月を機に、多様な社員が働きやすい、より自由な職場環境をめざして、本社オフィスに新たなオフィスをオープンした。今回は、新オフィスをご案内いただきながら、総務部のKさん、Oさん、広報部のMさんに、事業内容や新オフィスの特徴、サステナビリティへの取り組みなどについて話を聞いた。
目次
さまざまなライフステージを支えるサービスを提供
地域に多数の取引先を抱え、地域に根差した事業を展開しているアイティフォー。「アイティフォー」という企業名は知らなくても、実は同社のシステムが私たちの暮らしを間接的に支えているという。一体どのようなサービスを提供しているのだろうか。
——事業内容をお聞かせください。
広報部Mさん(以下、M):金融機関や百貨店、自治体など、地域のお客さまに、ITを活用した業務用システムやサービスを提供しています。近年は、キャッシュレス決済やサイバーセキュリティといった社会のニーズに応じたソリューション展開を行っています。
——私たちに身近なところでは、どのようなサービスを提供されていますか。
M:例えば、金融機関さま向けのサービスですと、皆さんがマイホームを購入する際に検討される住宅ローンをはじめとした、個人ローンのWeb申し込みシステムを提供しています。また、小中学生の給食費管理システムや就学援助システムなど、教育委員会向けのソリューションも展開しており、人生のさまざまなライフステージで皆さまの生活のお手伝いをさせていただいています。
総務部Kさん(以下、K):百貨店の業務を総合的に支援するシステムを提供していますので、皆さんが商品を購入されたときにお支払いをして、その情報が会員情報も含めて会計処理されるところなどでも、当社のシステムが動いてます。
最近では、キャッシュレス決済などで使用されるマルチ決済端末でも当社のシステムが活用されています。
——アイティフォーならではの強みは何ですか。
K:地域に根差した事業を50年にわたり行ってきたことで、地域に強固な顧客基盤を持っていることが挙げられます。それにあわせて、各業界の知識をはじめ、業務に対するノウハウや技術が蓄積していることも大きな強みとなっています。
——御社が大切にされている理念についてお聞かせください。
M:経営理念として、「『寄り添うチカラ』で人々の感動と笑顔を生み出す」を掲げています。当社は企業を取引先とするBtoB(Business to Business)の企業ではありますが、当社が提供するシステムやサービスなどを通じて、企業さまの顧客である個人のライフステージをサポートするという意味でBtoBtoC(Business to Business to Consumer)の企業であると考えています。
当社は一般の皆さまからは見えにくい存在といえますが、先述の通り、実は身近なところに私どものサービスやシステムが存在しています。ですから、当社のサービスによって、お客さま企業の経営にプラスの変化を起こし、それが多くの人々の感動と笑顔につながり、持続可能な未来の発展につながると考えています。
顧客にも社員にも発揮される「寄り添うチカラ」
——どのような方が活躍されていますか。
総務部Oさん(以下、O):営業はもちろんエンジニアも、お客さまに寄り添い、困りごとや課題をしっかり聞き取って、解決のご提案ができる人が活躍しています。実は、経営理念にある「寄り添うチカラ」という言葉も、あるお客さまから「アイティフォーは(私たちに)非常に寄り添ってくれた」と感謝のお気持ちをいただいたことがきっかけで生まれた言葉なのです。
M:当社はシステムを販売していますが、「システム屋さんになってはいけない」と考えています。私は以前、営業職にいましたが、自社のシステムを詳しく理解するよりも、お客さまの業界の知識や業務の内容を理解することのほうがずっと大切だと教えられてきました。
そういう意味では、お客さまがどういった仕事をされていて、どういう悩みを抱えておられるのかを傾聴し、理解する力のある人が活躍していると思います。
——社内はどういった雰囲気ですか。
K:大企業のように社員数が多いわけではありませんので、一人ひとりの意見が反映されやすい雰囲気があります。若手の声を組み込んで形にしていくこともできていますので、若手が意見を言いやすい環境になっていると思います。
M:個人的には、優しい人、いい人が多いなと感じています。それぞれのプライベートについても自然と気遣いがあるので、家庭で何か問題が生じていたり、体調があまりよくないといった場合も、遠慮せずに相談することができ、そのときにできる最善の働き方を選択することができます。そういう意味では、一人ひとりの状況や事情に対する柔軟さのある職場といえると思います。
コミュニケーションと想像力を刺激する新オフィス
アイティフォーは創業50周年の記念日である2022年12月2日に、新オフィスをオープンした。新しい12階のオフィスは、9階10階にある既存のオフィスとは仕様を大きく変え、次の50年へ向けた同社の思いを体現したオフィスとなっている。
——オープンな雰囲気のオフィスですね。どのようなコンセプトで構築されたのですか。
K:新オフィスの構築にあたっては、総務部と役員、一部のエンジニアで、「これからアイティフォーをどのような会社にしていきたいか」という話し合いを重ねて、半年ほどかけて形づくっていきました。
この話し合いにエンジニア以外の社員が入っていないのは、既成概念にとらわれず、これまでの9階10階とはまったく違ったオフィスをつくりたいという、新しいチャレンジへの強い思いがあったことがひとつの理由です。
O:新たな発想を生み出すためには、コミュニケーションと想像力が必要であるという考えから、新オフィスのコンセプトには「INNOVATION=Communication+Imagination」を設定し、サステナブルなワークプレイスづくりをめざしました。
多様な社員が自由な働き方ができるようフリーアドレスを採用し、可変性の高いフレキシブルなレイアウトにしています。また、ガラス張りの会議室を含め全体をオープンな空間にしました。9階10階は固定席で構成されていますが、12階はどの部署のメンバーでも自由に仕事ができる空間となっています。
——コミュニケーション活性化のために、どのような工夫をしていますか。
O:カフェスペースがコミュニケーションの場になるようフリードリンクにし、ビリヤード台やダーツを置いています。また、当社の創業が12月2日であることにちなんで、毎月の2と12が付く日と金曜日にはハッピーアワーを行っていて、就業後の17時半ごろからお酒を飲むことができます。カフェにはセキュリティフリーで入れますので、お客さまにお越しいただくことも可能です。
WBC(ワールドベースボールクラシック)のときには、スクリーンに試合を流したりして、皆で集まって観戦して盛り上がりました。
——まさに「Communication」と「Imagination」ですね。他にはどのようなスペースを用意されているのですか。
K:植栽に囲まれた固定デスクや、一人で籠る集中スペース、ハイカウンターの席など、個人を尊重したさまざまなバリエーションの執務スペースを取り入れました。
サステナブルなオフィスが社員の行動を変えた
——サステナブルなワークプレイスづくりをめざされたとのことですが、どのような点で配慮がされていますか。
K:当社では50周年を迎えたときに「次の、次の未来へ」というスローガンを作りました。次の未来を考えたときに、環境負荷の低減は重要な課題であり、今回リニューアルしたフロアは全面、環境に配慮したつくりとなっています。
具体的には、床や壁に環境配慮材や再生材、持続可能素材の資材を採用しました。どのような資材を使用したかは、お客さまのウェイティングスペースに立て看板を潜ませ、QRコードで読み込めるようにしています。
また、サステナビリティへの取り組みというのは、会社として取り組むことに加え、社員が意識することが大切ですので、会議室の名称を当社が取り組んでいるSDGsのカラーの名前にしました。例えば、SDGsの目標3の色であるケリーグリーンなどです。また、目標10のマゼンタの会議室には、サステナビリティに関連して、自然をとらえたアートフォトを飾っています。
そのほか、ペーパーレスを促進するためにコピー機やプリンタの設置をやめ、ゴミ箱もなくしました。この取り組みはペーパーレスだけでなくコスト削減にもつながります。フリードリンクやハッピーアワーは、こうして削減した予算によって実現しています。
——それは思い切った取り組みですね。
K:これに関しては社長の思いが強く、トップダウンの取り組みとして始まりました。最初は本当にできるのかな?という思いもあったのですが、実際になくしてみると、従業員がそれぞれにゴミを生み出さない働き方をするようになり、資料も印刷せずにPDFで済ませるようになりましたので、業務効率化にもつながっています。
——その他にこだわられたところはありますか。
K:エントランスはお客さまが来たときの顔になりますので、瞬間調光ガラスを使用し、透明にして社内全体を見せるようにしたり、不透明にして当社の紹介動画を流したりと、いろんな顔をお見せできるようにしています。
また、案内の矢印を掲示したサインポストがあるのですが、その高さを創業年の1972年にちなんで1972mmにする遊び心も取り入れています。
O:そのほか、一番奥のネイビーブルーという部屋はマルチエリアとしてセミナー等も行える仕様としています。奥には、創業50周年のイベントでお招きした書道家の武田双雲さんにライブパフォーマンスで書いていただいた書「感笑」が壁一面に飾られています。
「感笑」は、当社の経営理念にある「感動」と「笑顔」にちなんだ造語です。ダイナミックな書で、1.8m×1.8mの迫力ある作品がこの部屋の顔になっています。
——皆さんがオフィスの中でお気に入りの場所はどこですか。
M:私は上司との1on1ミーティングをいつもテントの中で行っています。楽しい雰囲気がありながら、意外と落ち着いて話ができるところが気に入っています。
K:カフェの窓からは、皇居の緑やスカイツリーが大きく見えて、とても景色がいいのでリフレッシュできます。
あとは、ソファが向かい合わせになった通称ファミレス席の人気が高いですね。ちょっとしたミーティングもできますし、6人ほど座れますので、そこで昼食をとる人も多いです。
ファミレス席では、就業後に中国語講座なども開催されています。中国語が話せる人に、中国語を話したい人が教えてほしいとお願いして始まったもので、そうした自発的な集まりにも活用されています。
O:新オフィスでは会議室をすべて違うつくりにしましたので、気分や用途で好きな部屋を選べるところが好評です。12階のオフィスは新しい働き方に対応して変化させていくことを目標としていますので、これからも変化していく予定です。
地域に寄り添い、持続可能な未来の実現をめざす
——働きやすい環境を実現するために導入されている制度はありますか。
K:フレックスタイム制度があるほか、週2日はリモートワークが可能です。また、社員全員にマイクロソフト社の Surfaceが支給されていますので、持ち運んでどこでも仕事ができます。
O:福利厚生の一環で、アニバーサリー休暇制度もあります。例えば、誕生日月や記念日に休暇を取得することで、お祝いとして奨励金が支給されるので、いつもと違うところへ食事へ行くなど、ちょっとだけ特別な時間を過ごすことができます。このような制度により、会社全体の有休取得率も80%を超えています。
——社会貢献への取り組みはされていますか。
M:地域への貢献を大切にする企業として、開催の主旨に賛同するイベントへの協賛を行っています。例えば、2023年10月に開催された国際サイクルロードレース「ツール・ド・九州2023」にシルバーパートナーとして協賛しました。これは、地域ブランディングや地域のSDGs達成に資することをめざす同イベントの姿勢に共感したものです。
また、近隣の中学生を招いての職場体験も開催しました。今後も小学生向けの会社見学など、地域の子どもたちに貢献できるイベントを積極的に開催していきたいと考えています。一人でも多くの方にITの可能性を知ってもらい、こんな所にこんなことをしている会社があるんだ、ということも知ってもらいたいです。
O:そのほか、ユニセフへの募金や、大きな災害があった際にはその地域への寄付を行うといった取り組みも断続的に行っています。今年度は企業版ふるさと納税を活用した寄付も初めて行いました。また、新オフィスにはBattery Stationを設置していて、災害時などの際に地域の皆さまにもお使いいただけるように準備しています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
M:今後も地域に寄り添って貢献していくことで、持続可能な未来の実現をめざしていきたいと考えています。また、キャッシュレス決済やAIを活用したサイバー攻撃対策など、新たな社会のニーズに対応していくことで、サービスをブラッシュアップしていきながら、お客さまに多くの笑顔と感動を提供し続けていきたいです。
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取材のウラ側
50年の歴史があり、安定した業績を堅持しながらも、新オフィスからは次の未来へ向けて変わっていこうとする、変革に向かうエネルギーが感じられた。また、サステナブルな建材・環境配慮材を用いるだけでなく、コピー機やゴミ箱をなくすという思い切った取り組みを行っている点も印象的だ。このオフィスに身を置くことで、一人ひとりが自分の行動を変え、環境負荷の低減に貢献することができる。地域貢献はもちろん、環境保全への貢献を重視する人にとっても魅力的な職場といえるだろう。
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