人事本部ピープルデザイン部 インターナルサービスグループ グループリーダーを務める三熊祐輝さん

総務ではなく「インターナルサービス」

——まず三熊さんの現在の役割について教えてください。

インターナルサービスグループのリーダーとして、オフィス環境の整備から、社員のエンゲージメント向上、カルチャー醸成、研修による能力開発など、社員が挑戦できる土台を設計することが私の仕事です。

 

所属する本部のミッションは「メドピアで働く社員の現場に向き合い、業績最大化を図ること」。インターナルサービスグループでは戦略的な組織開発や環境インフラの構築を通じて従業員一人一人が成果を最大限発揮できるような基盤を作り続けています。

——「インターナルサービス」という名称にはどんな思いが込められているのでしょうか?

実は私、「総務」という言葉に少し違和感がありました。企業によって「総務」が担う領域は大きく異なり、何をしている部署なのか分かりにくいこともあるからです。そこで、役割をより明確にするために、「インターナルサービス」と名付けました。営業が顧客に向き合うように、私たちは社員一人ひとりに向き合い、能動的に価値を届け続けています。

 

私が2022年4月に入社した当初はコロナ禍で、オンラインベースでのコミュニケーションが中心でした。画面越しではどうしても生まれにくい「偶発的な対話」や「関係の深まり」をどう実現するかが課題でした。

 

私たちにとってオフィスは、単なる働く場所ではなく「組織開発を仕掛ける場」です。レイアウトやファシリティの工夫を通じて偶発的な出会いや協働を生み出し、社員の活性化や成長を促しています。同時に、日々の成果を支える土台でもあります。移転やレイアウト変更、創業20周年記念イベントといった取り組みも、すべては社員一人ひとりが力を発揮できる環境づくりにつながっています。一貫して取り組んでいるのは、社内に向けた組織開発です。

振り子のように揺れながら最適解を見出す

——メドピアはどのような企業理念を掲げていますか?

創業以来のミッションは「Supporting Doctors, Helping Patients」です。ビジョンは、「集合知により医療を再発明する」というビジョンを掲げています。さまざまな人の知が集まり、それを活用して医療に新たな価値を生み出すという考えです。

ワンフロアの広々とした執務エリアの一角には、医療の歴史を感じさせるユニークな展示物があります
昭和レトロな雰囲気が漂う、当時使われていた薬袋

——企業カルチャーの特徴はどんなところにありますか?

現場主義の文化で、裁量が非常に大きく、意思決定も他社と比べて早いと思います。一方で、常に本質を追究する姿勢を大切にしています。たとえ動き出した施策でも「これで本当に良かったのか」と立ち返ることを厭いません。社会の変化が速い中で、振り子のように揺れながら、本質を軸にその時々の最適解を考え抜いています。

 

会社の制度や文化は実は現場の声や問いからスタートしていることが多いです。経営層との距離も近く、役員席を廃し、誰でも「今いいですか」と気軽に声をかけやすい雰囲気があります。

手厚いスキル支援制度

——特徴的な人事制度はありますか?

大きく分けて、働き方の柔軟性を支える制度と、自己成長をサポートする制度があります。

 

働き方支援制度:

 

■ロケーションセレクト制度
一定期間、通常の通勤圏外で働く場所を選べる制度。帰省や出張、育児・介護の事情で活用されることが多いです。

 

■スタイルセレクト制度
恒常的に通勤圏外で勤務する必要がある場合に、フルリモートで働ける制度。
※適用条件あり

 

■自己成長支援制度(2025年10月よりリニューアル)
職種にかかわらず、全ての正社員のスキルアップや学習を支援する制度です。
年間12万円まで書籍購入やセミナー参加、オンライン講座受講等、自己学習に活用できます。自身の専門性を深める学習だけでなく、現在の職務領域を飛び越えて新しい知識を学ぶ越境学習も積極的に奨励しています。

 

これらの制度は2022年ごろに導入され、今では活用事例も増えて定着してきています。

PC作業に便利なクッションも用意された、会議室前の待合ベンチ。内部は災害対策グッズの収納スペースとして活用しています。

オフィス統合で生むシナジー

——2024年、銀座松竹スクエアの本社にグループ企業をオフィス統合した背景について教えてください。

グループの拠点同士はオンラインでつながっていたものの、社員同士が日常的に交わる機会は限られていました。そのため、会社や部門を越えた一体感が生まれにくく、結果としてシナジーも十分に発揮できていなかったのです。例えば同じ取引先を担当していても情報共有がなされず、「一緒に営業に行けば幅広い提案につながるのに」といった機会を逃していました。

 

そこで、文化的な一体感を育み、自然なコミュニケーションからシナジーを生み出すことを狙いにオフィス統合プロジェクトをスタート。グループ会社を受け入れるために増床し、2024年8月からはメドピア本体とグループ会社が同じ銀座松竹スクエアに拠点を構えることになりました。

会議室と休憩室を兼ねた、多目的スペース。体調が優れない時はソファーで横になって休むことも可能です

——オフィス増床・統合プロジェクトではどういった苦労がありましたか?

正直なところ、さまざまな課題がありました。オフィス移転が大変なのは承知の上でしたが、トップダウン的に「皆さんもこちらに来てください」と単に呼びかけるだけでは不十分です。同じオフィスになることのメリットを丁寧に伝えるとともに、心理的にも受け入れやすいよう工夫しました。Win-Winのポイントを探りながら進めることが、プロジェクトマネージャーとして特に力を入れた点です。

 

また、予算面でも当初の見積もりは大幅に超過していたため、さまざまな交渉を重ね、最終的には予算内に収めることができました。

「Ope」という名前の通り、オペ室(手術室)を思わせるユニークな会議室
動画配信や撮影のために完備された、グリーンバックの撮影用簡易スタジオ

「混ざる」空間設計

——統合後のオフィスレイアウトではどんな工夫をされましたか?

グループシナジーを強めるため「コネクティブ」をテーマに、つながりを生み出すことを目指しました。最初は全員がフリーアドレスで同じスペースで働けばいいという案もありましたが、セキュリティや文化の違いを考慮してエリア分けをしました。

 

ただし、川の流れのように、上流は分かれていても下流でミックスするような動線設計にしています。リフレッシュスペースを作業場所としても使えるようにして、自然に混ざる仕掛けを作りました。

 

フロアを8階と9階に分け、グループ会社を9階、メドピアを8階に配置。会議室22室やカフェスペースなど共用エリアはすべて8階に集約しました。9階から8階に降りてくる動線で自然に交流が生まれるようにしています。カフェスペースには社内飲食の自販機を置いて、気軽に立ち寄ってもらう仕組みも作りました。また、総合エントランスは医療を感じられるスペースにし、グループ全体のアイデンティティを表現しています。

 

執務室に関しては、マグネットスペースの考えを軸としたフリーアドレス制で、マグネットスペースの中間点には「つなぎ席」として予約のいらない会議スペースを設けました。

誰もが自由に集い、交流できる広々としたコミュニティスペース。社内では「コムスペ」の愛称で親しまれています

——実際に「混ざって」いる実感はありますか?

その手応えは感じています。社内で研修やイベントをやっていると、お互いに「あの会社はこういうことをやっているんだ」と覗き見ができるようになり、「うちの会社でも取り入れられるよね」といった相乗効果につながっています。クライアントへの共同提案で案件獲得に至るなど。ビジネス面でのシナジーも現れています。

 

そのほか、一緒にフットサルをやるなど、プライベートでの交流も生まれています。同じ場所になったからこそ混ざっているという効果は、確実に体現できていると思います。

医療や科学の情報を視覚的に、正確かつ分かりやすく伝える、メディカルイラストレーションを多数展示

出社回帰の決断

——2025年5月からの出社回帰について、その理由を教えてください。

メドピアの「第二創業期」として、もう一度スタートアップに立ち戻ろうという方針のもと、原則週3日以上の出社を推奨しています。スピーディーな判断と行動を促す環境、生成AIを活用した新しい価値創造、忌憚のない意見交換、信頼関係の構築などを実現するには、やはり対面でのコミュニケーションが重要だと判断したためです。

——出社回帰による働き方の変化はいかがですか?

まず業務上のコミュニケーションにおいて、Slack上で文章をやり取りする頻度が減り、1対1のオンライン会議を設定することも少なくなりました。対面で話をし即決できる分、意思決定のスピードが上がっています。出社回帰から3か月後のアンケートでも、ほぼすべての社員が「コミュニケーション面での効果はあった」「誰がどんな顔をしているか分かった」と答えています。

 

一方で、「集中して調査や分析をする時間が確保しにくい」という声もありました。業務に集中したい人のためにオフィス内に集中作業専用ブースを設けていますが、それでも自宅の方が効率的だと感じる場合もあります。出社中心に再転換したことで、出社とリモートワークの違いがより顕著に浮き彫りとなり、「どんな働き方が最適なのか?」という課題が改めて見えてきました。原則として出社回帰の方針は変えませんが、業務特性に応じて作業効率を最適化できるよう、部署ごとの判断で運用を進めています。

メドピアの事業は医療の歴史に寄り添って歩んでいくという想いを込めて、壁一面に歴記された「History Wall」

実直で、主体性を大事にする社員が活躍する

——最後に、メドピアはどういう人が多い会社でしょうか?

2024年度に20期を迎えるにあたり、新たに行動指針として示した「Values2025」を、自分の言葉と行動で体現しているメンバーがメドピアをリードしてくれています。なかでも「自分の背中には誰もいない」という言葉に象徴されるように、自律して判断し、オーナーシップを発揮できる人が活躍しています。

 

また、当社には「実直」な人が多いのも特徴です。会社のミッションに対して誠実に向き合い、ときに健全にぶつかり合いながら、圧倒的な主体性で「どうすればより良くできるか」をフィードバックし合う文化があります。

 

さらに、具体と抽象を自在に行き来できる人が多い点も印象的です。ミッションを自分のタスクに落とし込むだけでなく、日々の仕事が最終的にミッションへどうつながるかを考えられる。実直でありながら、抽象的な理念と具体的な行動を往復できる人材が、お互いに刺激を与え合い、組織を成長させています。これからも、そうした仲間とともに、「社員が挑戦できる土台を設計する」ことに力を注いでいきます。

この企業のことをもっと知る

取材のウラ側

豊かな光と緑が彩り、訪れる人に安心感を与えるエントランス。一方、ワンフロアの開放的な執務エリアやコミュニケーションエリアは、従業員が自由に交流する「街」そのものです。
細部にまで会社の歴史や医療への想いが息づいており、居心地の良さと知的な刺激が共存する、まさに「My home Town」というコンセプトを体現するオフィスでした。

編集部が推したい福利厚生や支援制度
1. ロケーションセレクト

社員が一定期間の中で働き方を選べる制度。帰省、出張などをきっかけに最長2週間、通勤圏外での勤務ができる「シーズナル」と、育児・介護・看護などの理由で数か月間、通勤圏外での勤務が可能な「ライフステージ」があり、多様な働き方を支援します。

2. 学習支援制度(2025年10月よりリニューアル)

職種にかかわらず、全ての正社員のスキルアップや学習を支援する制度です。
年間12万円まで書籍購入やセミナー参加、オンライン講座受講等、自己学習に活用できます。自身の専門性を深める学習だけでなく、現在の職務領域を飛び越えて新しい知識を学ぶ越境学習も積極的に奨励しています。

3. オンライン医療相談(first call)

社員やその家族が、チャットやテレビ電話で医師に気軽に医療相談をすることができます。日々の健康の悩みを解消し、安心して働ける環境を提供します。